この記事書いた人
出身大学:慶應義塾大学
略歴:大学時代から中学受験の指導に携わる。
アルバイトでありながら、
オリジナル教材の作成や有名校の過去問研究に精を出し、
校舎の国語授業の満足度ランキング一位を獲得する。
その後、
本業の傍ら中学受験についての
情報発信やプライベートレッスンを事業として展開。
日々、精進中。※名前はビジネスネームです。
当サイトではアフィリエイトプログラムを
利用して商品を紹介しています
この記事でわかること
- 論理的文章(論説文・説明文・随筆文)読解を武器にするためのコアフレーズについて
- 論理的文章(論説文・説明文・随筆文)読解を正確にする評論用語について
みなさん、こんにちは!中学受験プロ講師の神泉忍です。中学受験のプロ講師として10年以上活動を続ける私が、「論説文・説明文の読解を得意にするために覚えるべき用語150語」というテーマでお送りしたいと思います。
論説文・説明文に悩む受験生は多い
私が中学受験の国語を指導していて非常に多いお悩みが「論説・説明系の文章が苦手」というものです。多くの受験生を指導する中で、論説・説明系の文章読解において以下のポイントを発見しました。
- そもそも文章がわからない
- 文章はわかるけど、読解問題を解くスキルが不足している
大きくこの二点に問題は大別されます。そして、多くの受験生は、この二点を混同した状態で勉強を進めるので、勉強が効率化されません。
「そもそも文章がわからない」という状態を取り除く
今回の記事では、「そもそも文章がわからない」という状態を解決するために「コアフレーズ」と「評論用語」の習得について解説します。これは、算数における九九のようなものです。論説・説明系の文章を読むにあたっては、「暗唱することが必須のレベル」の知識を体系化しています。
論理的文章(論説・説明・随筆)が小学生にとって難しい原因
本題である「コアフレーズ」と「評論用語」の前に、なぜ「論理的文章(論説・説明・随筆)」が小学生にとって難しいのかを解説していきます。
論理的文章(論説・説明・随筆)が小学生にとって難しい原因まとめ
- 原因①大人向けに書かれた本から問題が作られている
- 原因②読解指導の質が全般的に低い
- 原因③到達度が計りにくい
原因①大人向けに書かれた本が出典である
中学受験の文章の出典は、大人向けに書かれた新書であることが多いです。本の著者は、「中学受験に使われる」ということを念頭においていませんので、大人の読書に耐えうるテーマをそれなりに難しい表現で書いています。
ただ、一方で出題者側は、「受験問題として成立しうる」文章を選んでいますので、ありがちなテーマや読解訓練を積んでいれば読めるであろう難易度の文章をピックアップしています。その意味で後述する「コアフレーズ」と「評論用語」の習得が大事なんですね。この二つが、「受験国語」としての頻出論点をカバーする知識なので、出題される文章に対応する最短ルートとなるのです。
原因②読解指導全般の質が低い
多少のポジショントークになってしまいますが、中学受験国語の全体的な指導の質は低いと感じます。というのも、大手塾は基本的にアルバイト講師が授業を担当するんですね。ですので、国語の指導経験がない講師の方が多いです。受験学年でハイレベルなクラスだと、社員の講師が担当していますが、下位クラスや受験学年ではないクラスは、アルバイトが授業を担当しています。
論理的読解をまともに指導できる人が少数なので、論理的文章に関する受験生のレベルも低くなってしまうという構造です。
原因③到達度が計りにくい
中学受験に限った話ではありませんが、国語という科目は、到達度が他科目に比べ計りにくいです。
- 作者が書いた文章を引用する形で出題する
- 本文に多様な情報が含まれる
- 設問解答プロセスを標準化して表現しにくい
「どこまで読めているのか?」「どこまでわかっているのか」が言語化&数値化しにくいので、大規模な集団授業や一律指導が難しいのです。
論説・説明・随筆の共通点と違い
論説・説明・随筆の共通点
論理的文章(論説文・説明文・随筆文)は、事実を元に書かれています。現実にあった出来事について書かれています。そして概ね、実社会への何らかの提言や問題解決・思想などを提示します。俗にいう「ノンフィクション」が論理的文章にあたります。
一方で、文学的文章(小説・物語・詩・短歌・俳句)は、フィクションとして作者が作り上げた現実もしくは、作者のフィルターを通した現実が描かれます。筆者のオリジナリティや世界観を楽しむものなので「エンタメ性」「(作者の)自己表現性」を持っている文章です。いわゆる「フィクション」です。
論説文の特徴
論理的文章(論説文・説明文・随筆文)の中でも「論説文」は、筆者の意見を伝えることが主目的となり、筆者の意見を頂点に論理構成が明確です。ですので、読解にあたっても「結局、筆者は何が言いたいのか?」ということがメインに問われます。「筆者のイイタイコト」をキャッチするにあたり、情報収集はしやすいと言えます。
説明文の特徴
論理的文章(論説文・説明文・随筆文)の中でも「説明文」は、情報を正確に伝えることが主目的となります。筆者の意見が明確にあるというよりは、豊かな情報提供を目指しています。読解にあたり、「イイタイコト」が絞られるタイプの文章ではないので、文章から情報整理することが読解にあたって必要です。図やイラストを書きながら読み進めると正確に読み進められます。筆者の主張が一つあるというより、説明したい複数の要点があるタイプの文章です。
随筆文の特徴
論理的文章(論説文・説明文・随筆文)の中でも「随筆文」は、筆者の個人的体験から得た気づきや思想を伝えることが主目的となります。論説文や説明文が、「社会的事実」「定量的事実」を重視するのに対して、随筆文は、筆者の個人的経験を重視します。気づきや思想は、一つの主張として読み取れるので、論説に近い性質を持ちますが、定性的な話が多く、「共感できない」「わからない」といった感覚を読者に与えるのも事実です。筆者はおじさんおばさんなので、中学受験生にとってはジェネレーションギャップが読解の障壁になってきます。
論理的文章(論説文・説明文・随筆文)の特徴まとめ
- 共通点
- 事実を元にしている(ノンフィクション)
- 文学的文章(小説・物語・詩・短歌・俳句)はフィクション
- 論説文の特徴
- 社会的事実をもとに筆者が自分の意見を明確に主張する
- 論理構成が把握しやすい
- 社会や世の中の問題をどう解決したいのかを読み取る
- 筆者の意見を把握することが大切
- 説明文の特徴
- 観察対象の事実を専門的に解説する
- 筆者の主張が明確に絞れないことが多い
- 定量的な事実を並べるので、図やイラストで整理することが大切
- 伝えられている情報の要点(複数)を整理することが大切
- 随筆文の特徴
- 筆者の経験や体験を元にする
- 事実ベースであるが、定性的な話が多い
- ジェネレーションギャップが障壁となり読みづらくなる
- 筆者が伝えたい気づきや思想を読み取ることが大切
苦手を克服するためにすべきこと
ここからは、中学受験国語の論理的文章(論説文・説明文・随筆文)読解を武器にするためにすべきことを3つのポイントで解説します。
①論理的思考の訓練
まず第一に、「論理的な思考」を身につけましょう。このあたりは、耳にタコができるほど言われている話ですが、中学受験生が論理的思考について習熟していることは稀です。
最初に、「言い換え」「対比」「因果関係」を理解しましょう。論理的思考の基本ですが、福島式の問題集で小学生にもわかりやすく実践的なトレーニングが積めます。
その後、読解問題のトレーニングを通して、「文脈」「客観性」「論理の飛躍をなくす」といった概念ができあがれば、読解における「論理性」は必要十分に身につきます。
②コアフレーズの習得
次に、「コアフレーズ」を習得します。これは、算数における九九の暗記のようなもので、「そもそも知っていないと始まらない」知識です。コアフレーズとは、私の造語なので、一般的な言葉ではありません。この後にコアフレーズとは何かを具体的に説明していきます。
- <コアフレーズの知識>逆接の接続詞を4つ挙げなさい
- <コアフレーズの知識>原因から結果を示す接続詞を4つ挙げなさい
- <コアフレーズの知識>譲歩構文で例文を作りなさい
- <コアフレーズの知識>比喩を表す助動詞を答えなさい
こういった質問に答えられる受験生はまず、いません。しかし、論理的文章を読み解くにあたっては必須の知識です。私の授業では、コアフレーズを「暗唱できるレベル」まで落とし込みます。そこまで落とし込んではじめて、文章中の「しかし」「よって」「なぜなら」といった論理的に重要な表現に気づけるようになります。
③評論用語の習得
最後に、「評論用語」を習得します。論理的文章(論説文・説明文・随筆文)には、前提となる背景知識が多く含まれます。歴史や哲学、科学や社会問題について、読み手が一定の理解をしている必要があります。
- 「資本主義」とはどういう意味?
- 「近代化」とは?
- 「環境問題」はいつ頃から問題視されはじめた?
- 「インターネット登場」によって何が変わった?
こういった知識は、読み手に要求される一定のリテラシーとなります。社会の勉強で習得可能ですが、国語という文脈では、「大局的理解」が必要です。社会の歴史の勉強は、ミクロ的な話ですが、近代以降の社会のマクロ的変化の理解を求められるのが論理的文章(論説文・説明文・随筆文)です。
コアフレーズとは?
先述しましたが、コアフレーズとは、私の造語です。コアフレーズは、「論理的読解を可能にする表現を体系化したもの」です。以下のものが含まれています。
- 接続語
- 基礎的な論理用語
- 助動詞・助詞
- 副詞の呼応表現
- その他重要表現
全部で130語ほどあります。
何のために覚えるのか?
コアフレーズは以下の理由により覚える必要があります。
- 文章中に「論理関係」が発生することを瞬時に見抜けるようになるため
- 出題者が問題にしたがる部分を瞬時に見抜けるようになるため
- 問題を解く際に「論理的表現」をスムーズに使えるようになるため
文章中に論理関係が発生する際は、定型的な表現が使われます。「しかし」「なぜなら」「さえ」「仮に〜〜だとしたら」「一方で」、こういった表現です。これらの表現を出題者は見て、そこから問題を作っています。ですので、コアフレーズを理解し、暗唱可能なレベルまで覚えることで、出題者と同じ目線を手に入れられ、それが論理的読解につながります。
評論用語と何が違う?
コアフレーズは、「普遍的な論理表現」に対して、評論用語は、「文章を理解する背景知識」です。コアフレーズは、論理的文章のみならず文学的文章にも登場し、文中に論理関係をもたらします。その意味で、普遍性があり、評論用語よりも重要性が高いです。一方、評論用語は、論理的文章を読むにあたって必要な背景知識や教養です。
どうやって覚えればいい?
コアフレーズは、「暗唱」可能なレベルまで覚えこんでいきましょう。私の受け持ちの生徒は、以下のレベルで覚えています。
- コアフレーズをそらんじることができる
- コアフレーズに関してあらゆる角度の質問がきてもすぐに切り返せる
「なんとなく知っている」状態は、試験上0点と同じです。なぜなら、試験は時間ギリギリに設定されており、曖昧な記憶は淘汰されるようになっているからです。「いつでもどんな状態でも答えられる」レベルまで暗唱しなければ、試験で有用なスキルにはなり得ません。
コアフレーズについてまとめ
- コアフレーズは論理関係を作る表現をまとめたもの
- コアフレーズを覚えることにより
- 文中の論理関係に気づける
- 出題者と同じ目線を手に入れられる
- 設問に答える際に論理的表現が使えるようになる
- コアフレーズは、暗唱できるレベルまで覚える
- どの文章にも普遍的に登場するため
- なんとなくはみんな覚えている
- でも点数が取れない
- 試験では「なんとなく」の知識は通用しない
コアフレーズ一覧
コアフレーズ「接続語」パート
- 【帰結】
- だから 従って よって それゆえ そのため すると
- 【逆接】
- しかし だが でも ところが にもかかわらず が けれども
- 【並列】
- また そして そのうえ さらに しかも
- 【対比】
- 一方 もしくは あるいは それに対して
- 【列挙】
- 第一に・第二に・第三に 最初に・ついで・最後に まず・つぎに・さらに
- 【換言】
- すなわち つまり 要するに むしろ
- 【例示】
- 例えば とくに とりわけ
- 【理由】
- なぜなら というのは
- 【転換】
- さて ところで では
- 【結論】
- いずれにしても やはり
コアフレーズ「評論用語」パート
- 抽象⇔具体
- 一般⇔特殊
- 絶対⇔相対
- 本質⇔現象
- 理性⇔感性
- 客観⇔主観
- 本音⇔建前
- 概念
- 観念
- 逆説(パラドックス)
- 皮肉
- ジレンマ
コアフレーズ「助詞」パート
- 【順接】
- ので/から
- 【逆接】
- のに/けれど/ても
- 【主語・定義】
- は/が
- 【同類・並立・強調】
- も
- 【強調】
- こそ
- 【類推・限定・添加】
- さえ
- 【類推・例示】
- でも
- 【類推】
- すら
- 【限定】
- しか
- 【限度・類推】
- まで
- 【程度・限定】
- だけ
- 【例示】
- など
コアフレーズ「助動詞」パート
- 【受身・尊敬・自発・可能】
- れる/られる
- 【使役】
- せる/させる
- 【希望】
- たい/たがる
- 【断定】
- だ/です
- 【様態・伝聞】
- そうだ/そうです
- 【推定】
- らしい
- 【意思・推量・勧誘】
- う/よう
- 【推定・たとえ・例示】
- ようだ(です)/みたいだ(です)/ごとし
- 【打消意思・打消推量】
- まい
- 【打消】
- ない
- 【過去・完了・存続・確認】
- た
- 【丁寧】
- ます
コアフレーズ「呼応の副詞」パート
- 【疑問】
- なぜ~のか。/どうして~だろう。
- 【たとえ】
- まるで~ようだ。/ちょうど~ようだ。/さも~ようだ。/あたかも~ようだ。
- 【仮定】
- もし~ならば/たとえ~ても/仮に~ても/いくら~ても
- 【願望】
- ぜひ~たい。/どうか~ください。/どうぞ~ください。
- 【否定】
- 決して~ない。/必ずしも~ない。/とうてい~ない。/全く~ない。/少しも~ない。
- 【推量】
- たぶん~だろう。/おそらく~だろう。/きっと~だろう。
コアフレーズ「その他の重要表現」パート
- 【譲歩構文】
- <なるほど/たしかに/もちろん/むろん>+<しかし○○/でも○○/だが○○/であるが○○等>
- 【否定構文】
- ××ではなく○○/××ではなく、むしろ○○ <譲歩構文>
- 【二重否定=強い肯定】
- ○○ではないということはない
- 本質的に○○/本質は○○
- ○○といっても過言ではない
- 一般的に
- 特に
- そもそも
- このように
- 昔(かつて)は~&今(現代)は~
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評論用語とは?
評論用語とは、論理的文章(論説文・説明文・随筆文)に頻出する用語を集めたもので、「背景知識の補完」として学習する分野です。
評論用語を覚えるべき理由
論理的文章(論説文・説明文・随筆文)の読解を正確に行うために、評論用語は、必要になります。
例えば、論説では、「近代」「現代」といった言葉が頻出ですが、しっかりと意味をもって使用されています。
コアフレーズは、算数の九九のように「自由自在につかいこなせる」ことが求められましたが、評論用語は、知識として覚えておくという立ち位置になります。
中学受験国語でも評論用語を知らないと読めない文章が出題されている
本来、評論用語は、大学受験レベルの論説文を読解する際に、学習する知識分野です。しかし、中学受験の文章でも、大学受験レベルの問題ではありませんが、評論用語を用いた文章は、高頻度で出題されます。
出典の文章が「大人向けの新書」から引用されていることが、理由です。作者は、中学受験向け・大学受験向けといった前提で文章を書いていないので、同じような出典であれば、評論用語は自ずと登場します。
中学受験国語で評論用語が文中に登場する例①
これは、現代よりも前の時代には、例えば農業をするために森林を伐採し、畑を耕すことは、明らかに自然に対して働きかけることである。しかし、その影響が未来にまで及ぶことはなかったのである。
なぜなら、そうした影響は、自然によって回復され、 人類が自然に影響を与えることができなかった、ということではないからだ。 そんなことは明らかにあり得ない。
〜中略〜
ベーコンは、このような実験こそが、人間の知識にとって不可欠の契機であると考えた。実験は、自然に対して働きかけることを通して、自然を理解することはできない。それを可能にするのは実験という、技術の営みなのである。この意味において、ベーコンはもはや「自然をそのままに観察していても、自然を理解することはできない」とするアリストテレス的な「自然の模倣」ではなく、「自然の支配」を可能と見なすものとして技術の発想は、もはや「アリストテレス的な自然の模倣」にとどまらない、自然を自分の関心に従って操作、管理しようとする態度へと、転換する。自然をそのように考えるとき、自然を人間よりも優れたものとして模倣する態度は、人間を圧倒的に凌駕する存在ではなくなり、人間によって支配され得る対象へと変わってしまうのである。
〔渋谷幕張渋谷中学2024年度/戸谷洋志『未来倫理』より〕
中学受験国語で評論用語が文中に登場する例②
言語習得の研究によれば、子供が母語を習得する過程は、はしば、「現象を一般化して仮説を立てる」「仮説を検証する」「仮説を修正する」というプロセスをたどるらしい。
たとえば、「二歳くらいの子供に見たことのない物体の名前を教えると、子供はそれをその物体の名前だと思い込む」という。「法則(仮説)」を導き出すのだ。つまり犬を見たときに「これはイヌ」と教えたなら、子供は「この動物に似た物体はみんなポチなのだ」という間違った仮説は、後に修正されていくらしい。
〔海城中学2023年度/川添愛『科学と文学について自分なりに考えてみた』より〕
中学受験国語で評論用語が文中に登場する例③
ところが、生産者にとって、やはり不確実性とリスクを生み出しているのは、他ならぬ私たち消費者なのです。
私たちの何げない消費行動がどのように生産者に影響を及ぼしているのでしょうか。それも、イチゴであれば、一年間栽培し、出荷前で、店頭に並ぶのはちょうど完熟するころの三、四日前に過ぎません。そして短期間に売り切れるかまたはどうかもわかりません。困ったときに、「買う」場合、問題ないように思われますが必ずしもそうは言えません。全部を買わないで、結果として売れ残りが出る場合、十分な販売収入を得られないリスクがあります。また売れたとしても、想定していた値段で売れないリスクもあります。
第一の「買う」場合、売れ残りが出る場合、それだけ無駄な生産をしたこと、また逆に売り切れて足りなくなった場合には、せっかくの収入を増やす機会をすみます失ってしまうことにもなります。
第二の「買わない」場合、当然ながら、必要な収入を得られない大きなリスクにつながります。その二年間に、消費者の嗜好が変わったり、経済環境が変わり、不況になったりすることで、売れなくなるリスクは常に存在しています。
例えば、「出始めのまだ需要がわからない」という曖昧な態度でも、生産者には困りものです。しかし、生産者には、不確実な先行きでも生産を止めるわけにはいかないのです。
このように消費者以外にも、他の生産者、他店の競争や、栽培途中で台風とか自然災害に遭うリスクもつきもので、 生産者は、多種多様なリスク不確実性に囲まれています。
〔豊島岡女子学園中学2022年度/徳田賢二『値段がわかれば社会がわかる━はじめての経済学』より〕
評論用語について
- 論理的文章(論説文・説明文・随筆文)に頻出する用語を集めたもので、「背景知識の補完」として学習する分野
- 論理的文章には、意味がわかっていないと正確な読解ができない文章が出題される
- 「近代」「現代」「資本主義」「言葉の分節化」「反科学主義」など
- 中学受験の国語問題でも頻出
評論用語一覧
覚えるべき評論用語を一覧化しました。基本レベルから抑えていきましょう。
<基本レベル77語>中学受験生が覚えておくべき評論用語
<基本レベル>①論理的思考の基本語(11語)
- 抽象⇔具体
- 普遍/一般/普通⇔特殊/特別/個別
- 絶対(的)⇔相対(的)
- 合理⇔非合理
- 本質⇔現象
- 概念/観念
- 顕在⇔潜在
- 逆説(パラドックス)
- 皮肉(アイロニー)
- ジレンマ
- 倫理
<基本レベル>②哲学/思想(11語)
- 自己
- 他者
- 主観⇔客観
- 理性⇔感性
- 実体⇔関係
- 身体
- 知覚/感覚
- 責任
- 歴史
- 必然⇔偶然
- 運命
<基本レベル>③言語/文化(12語)
- 記号
- 分節
- レトリック
- メタファー(隠喩)
- 象徴(シンボル)
- 虚構(フィクション)
- コスモス(秩序)⇔カオス(混沌)
- 文化⇔文明
- 一神教⇔多神教
- 社会
- 世間
- テキスト⇔コンテキスト
<基本レベル>④科学(5語)
- 分析⇔総合
- 対象化
- 因果関係/相関関係
- 生態系(エコシステ)
- 有機⇔無機
<基本レベル>⑤政治/社会(17語)
- 権利⇔義務
- 憲法/法律
- 公的⇔私的
- 自由/平等
- 自由主義
- 民主主義
- 資本/労働力
- 市場
- 貨幣
- 資本主義
- 社会主義(共産主義)
- 産業革命
- 社会保障
- 所得再分配
- セーフティネット
- 封建制/封建的
- 正義
<基本レベル>⑥近代(9語)
- 個人
- 自我
- アイデンティティ(自己同一性)
- 国民国家
- ナショナリズム
- 都市
- 風景
- 個人主義
- 郊外
<基本レベル>⑦現代(12語)
- グローバリゼーション
- 消費社会
- 差異
- 大衆/大衆社会
- メディア
- コミュニケーション
- マスメディア
- ソーシャルメディア
- ポスト・トゥルース
- フェイクニュース
- AI(人工知能)/ビッグデータ
- 情報(化)社会
<受験レベル73語>ここまで覚えたら完璧!難関中学以上は必須
<受験レベル>①論理的思考の基本語(5語)
- 演繹⇔帰納
- 自律⇔他律
- 一義(的)⇔多義(的)
- アナログ⇔デジタル
- 命題
<受験レベル>②哲学/思想(7語)
- 独我論
- 他我問題
- 形而上⇔形而下
- ア・プリオリ(先験的・先天的)⇔ア・ポステリオリ(後験的・後天的)
- 弁証法
- イデオロギー
- フェティシズム
<受験レベル>③言語/文化(14語)
- 表象
- オリジナル⇔コピー
- アウラ(オーラ)
- シミュラークル
- 神話
- 西欧中心主義
- 相対主義
- 多文化主義
- アニミズム
- 死生観
- 罪の文化と恥の文化
- アレゴリー(寓意)
- エクリチュール
- 贈与/相互支払
<受験レベル>④科学(14語)
- 仮説/検証/反証/法則
- 自然科学/社会科学/人文科学
- 機械論的自然観
- 要素還元主義
- 科学革命
- パラダイム
- 科学共同者/科学の認定化
- 科学主義⇔反科学
- 疑似科学
- 臓器移植/脳死
- 遺伝子/バイオテクノロジー
- 生命倫理
- 環境倫理
- 進化論/自然淘汰
<受験レベル>⑤政治/社会(12語)
- 帝国主義
- 社会契約説
- リベラリズム/ネオリベラリズム(新自由主義)
- コミュニタリアニズム(共同体主義)
- リバタリアニズム
- 功利主義
- 公衆衛生
- トリアージ
- 契約
- ガイドライン
- ステークホルダー
- トレードオフ
<受験レベル>⑥近代(7語)
- 近代合理主義
- 世俗(化)
- ヒューマニズム/人間中心主義
- 共同体(コミニュティ)
- 市民社会
- 均質な時間⇔円環時間
- 均質な空間⇔トポス
<受験レベル>⑦現代(14語)
- ポストモダン/大きな物語
- 脱構築
- 冷戦
- フェミニズム/ジェンダー
- 構築主義
- リスク社会
- ブラックボックス
- ケア
- QOL
- ポピュリズム
- シンギュラリティ
- 監視社会
- サステイナビリティ
- SDGs
評論用語の習得に最適なテキストは?
中学受験生向けに最適な評論用語テキストはこちらになります。
- 中学受験向けに特化している
- 実際に入試での出題文をもとに知識習得ができる
- 小学生にわかりやすい解説がされている
中堅校から難関校まで対策可能です。
- 令和時代の教養①(コロナ禍・多様性など)
- THEME 01 同調圧力
- THEME 02 利他
- THEME 03 バイアス
- THEME 04 戦争報道
- THEME 05 多様性(ダイバーシティ)
- THEME 06 ジェンダー
- THEME 07 アイデンティティ(自己同一性)
- THEME 08 気候変動
- THEME 09 コロナ禍
- 令和時代の教養②(メディア論・コミュニケーションなど)
- THEME 10 マスメディア
- THEME 11 メディアリテラシー
- THEME 12 広告
- THEME 13 オンライン
- THEME 14 SNS
- THEME 15 人工知能(AI)
- THEME 16 コミュニケーション
- THEME 17 情報拡散
- THEME 18 ネットいじめ
- 二元論①(近代から現代へ)
- THEME 19 合理主義(近代合理主義)
- THEME 20 効率化
- THEME 21 資本主義
- THEME 22 個人主義
- THEME 23 近代
- THEME 24 固定観念
- THEME 25 西洋
- THEME 26 東洋
- THEME 27 伝統
- THEME 28 科学
- THEME 29 東日本大震災
- THEME 30 画一化
- THEME 31 多様化
- THEME 32 文明
- THEME 33 文化
- 二元論②(現代社会とのつながり)
- THEME 34 共存・共生
- THEME 35 情報化
- THEME 36 自由
- THEME 37 責任
- THEME 38 自立
- THEME 39 依存
- THEME 40 秩序
- THEME 41 集団主義
- THEME 42 グローバル化
- THEME 43 国家(近代国家)
このような形で、合計43テーマにわけて、論理的文章を読解するにあたり必要な用語を一気に学ぶことができます。
まとめ
説明文&論説文が得意になる用語についてまとめ
- 論理的文章(論説文・説明文・随筆文)を得意にするためには、「コアフレーズ」と「評論用語」の習得が必須
- コアフレーズ=「論理的読解を可能にする表現を体系化したもの」
- 「接続語」「基礎的な論理用語」「助動詞・助詞」「副詞の呼応表現」「その他重要表現」など、全部で130語ほど
- コアフレーズの習得講座はこちら
- 評論用語=論理的文章(論説文・説明文・随筆文)に頻出する用語を集めたもので、「背景知識の補完」として学習する分野