この記事書いた人
出身大学:慶應義塾大学
略歴:大学時代から中学受験の指導に携わる。
アルバイトでありながら、
オリジナル教材の作成や有名校の過去問研究に精を出し、
校舎の国語授業の満足度ランキング一位を獲得する。
その後、
本業の傍ら中学受験についての
情報発信やプライベートレッスンを事業として展開。
日々、精進中。※名前はビジネスネームです。
当サイトではアフィリエイトプログラムを
利用して商品を紹介しています
令和04年度(2022年度)データ
文学的文章(小説文)
「おいしくて泣くとき(森沢昭夫)」
問題文難易度 易化(通年比)
設問難易度 易化(通年比)
文字数 約13000文字 難化(通年比)
合格者平均点45.6/85点
受験者平均点38.8/85点
令和04年度(2022年度)の問題文について
平成24年度の小説「次郎物語(下村湖人)」、平成25年度の小説「本を読むわたし(華恵)」において、長文の小説が一題のみ出題されるという傾向が続いた。以降は、二題の文章を出題するという形式が続いていた。
しかし令和4年度には9年ぶりに長文の小説一題のみが出題された。近年の受験傾向で対策を練っていた受験生は困惑したかもしれない。ただ、ここ10年の出題傾向を見ても開成中は、傾向を固定化させてはおらず、多種多様な問題を受験生に出題してきた。その意味では令和4年度の問題も想定の範囲内と言えるかもしれない。
問題文は設問文込みで13000字程度にのぼった。登場人物の関係性やストーリーに難解さはなかったので、一気に文章を読み終わらせて設問の解答に移るという流れは多くの受験生が難なくできたと予想できる。記述の問題は問2~6であり、後半の問題にいくにつれ難易度が高くなっていくオーソドックスな形式だった。特に問題5と6は、簡単そうに見えるが、深い思考を要求する設問であった。
また、設問の数が少ない分、1つ1つの問題の配点が多くなり、かなり細かい採点がされたと予想される。通常の難易度でオーソドックスな形式の文章が出題され、実力差がはっきり表れる配点がなされたという意味で非常に良い問題だったと言える。
令和04年度(2022年度)の目玉問題はこれだ
令和04年度(2022年度)の目玉問題(難問)はこちら。
問5
✔主人公「心也」と幼なじみ「夕花」の関係性
✔主人公「心也」と同級生「石村」の関係性
✔「こども飯」とはそもそもどんなサービスか
といった情報を非常に長い本文から整理して解答方針を立てることが求められた設問である。
今回の小説は、「貧困家庭」が主要なモチーフとなっているが、
はっきりと「貧困」がテーマだとは明示されていない。
特に作中に登場する「子ども飯」が世間一般の「子ども食堂」であること、
さらに「子ども食堂」が何のためにあるかを知っている必要がある。
その上で傍線部4が何を意味しているか言語化することが求められた。
文字数制限もタイトな設問なので、よく練り上げて端的で客観的な記述をする必要がある。
問6
台詞と本心の不一致を読み取れているか確かめる設問。
小説としては定番の問題である。
問5と同様に読み取りの範囲がかなり広く、解答に必要な情報整理に高い難易度があった。
解答アプローチについて非常に詳細な説明を講義では行っている。
ぜひ、動画講義をお求めいただけたらと思う。
追加演習問題
この動画講義には、「追加演習問題」を付けている。
開成中学校の令和04年度(2022年度)の設問に加え、
過去の出題傾向を踏まえ、
「出題されてもおかしくなかった問題」を私が自作して解説している。
通常の過去問に加え、この追加演習問題をやれば本文理解は万全だ。
特に開成の過去問では、主人公「心也」と同級生「石村」の関係性について問う設問は登場しなかった。
追加演習問題3では「心也」と「石村」の関係性についての理解を試している。
ぜひチャレンジしてほしい。解答解説は、動画講義をご購入いただけると視聴可能だ。
追加演習問題1
「微妙な緊張と好奇が入り混じったいくつもの顔。」とあるが、この時の青井をはじめとするクラスメイトたちの気持ちを自分の言葉で説明しなさい。(70字以内)
追加演習問題2
「俺にとっての「偽善者」と似たような「毒」を、夕花に感じさせてしまうかも知れない言葉だった。」とあるが、どういうことか。本文の内容を踏まえて自分の言葉で説明しなさい。(70字以内)
追加演習問題3
「俺の脳裏にはずっと石村の丸まった背中がちらついて離れないこと──、ただそれだけだ。」とあるが、心也は石村に対してどのような思いを抱いているか、石村の机の落書きを心也が消した理由を踏まえてわかりやすく説明しなさい。(100字以内)
解説本編はUdemyにて販売中
Udemyは世界最大の
「動画学習コンテンツ」プラットフォームです。
各専門分野の専門家が動画講義を販売しています。
コンテンツ内容
✔動画講義時間50分+15枚のレジュメ
で過去問を徹底解説
✔設問ごとに視聴可能
✔倍速再生可能
✔すべての記述問題に解説講義
✔記述の作成プロセスを詳細解説
✔記述作成に必要な解答要素を体系表示
✔小学生が書ける範囲の模範解答例
✔各設問の難易度と目標点を表示
✔色分けレジュメでわかりやすい
✔モノクロ版レジュメも添付
✔レジュメ合計30枚(カラー版15枚/モノクロ版15枚)
受講生の声(前年まで)
どの塾の解説よりも充実していました。国語専門の先生ということで、塾のフォローアップや過去問添削など大変お世話になりました。
動画で解説を見られるので、効率的に過去問演習を進められました。
色分けされたプリントがとても使いやすかったです。
豊富な情報を効率よく学習できるように仕組みを作って下さっておりましたので大変重宝しました。
ご購入はこちら
令和04年度(2022年度)本文分析
令和04年度(2022年度)「おいしくて泣くとき(森沢昭夫)」
◆貧困問題について取り扱った長文小説
受験生と全く境遇を異にする登場人物の心情読解をさせるというのが開成中の小説の一貫した特徴である。今回は、現代の貧困問題を題材とした小説である。「子ども飯のサービス」とは何かという説明が一切されていないので、開成中としてはそのあたりは一般常識として知っておいて欲しいと考えているのだろう。
◆匿名での誹謗中傷に悩む主人公の気持ちを整理しよう→問2/問4 難易度:易
本文内ではっきりと説明がなされているので、それらを整理する。難易度は低い。
◆人間の卑劣な心理を理解しよう→問3 難易度:中
「子ども飯のサービス」は立派な社会貢献であり、素晴らしい活動である。ただ、そういった社会的活動に懐疑的な意見もあるのも事実である。「子ども飯のサービス=偽善」と捉える人間がいることについて本文内でわざわざ説明がされていない。教師の矢島先生の台詞を主人公の心也はどう感じたのかを考えさせる問題である。「なるほど」という台詞に違和感を感じたのか、「なるほど」という言葉に象徴される矢島先生の対応全般に違和感を感じたのか、2つの捉え方がある設問だった。
◆物語の人物設定と人間関係から主人公の気持ちを整理しよう→問5 難易度:難
物語の人物設定の情報を整理した上で、主人公の気持ちをまとめる設問である。非常に長い文章の情報を短時間で整理し、理屈を整理するという意味で難易度が高かった。ただ一方で、それらの作業をせずに、直前の情報だけをまとめても解答上点数は取れてしまう設問でもあった。
◆台詞と本心のズレを理解しよう→問6 難易度:難
一言の台詞から主人公の気持ちをまとめさせる設問である。父と心也の会話がはじまった 箇所から情報を整理していくと論理的に主人公の気持ちを説明できる。「焼きうどん」が物語上で何を象徴しているか、「心也は嘘が下手と複数回父親に指摘されている」ことを踏まえて論理的に考えて見よう。父親に対しての感謝がある一方で、不満も抱いている主人公の気持ちを短くまとめさせる高度な設問である。