中学受験生の漢字勉強について徹底解説します
みなさん、こんにちは!
中学受験国語プロ講師の神泉忍です。
今回は
【中学受験国語】漢字苦手を得意に変えて高得点を取る具体的方法
と題しまして、
中学受験生の漢字勉強法について
徹底解説していきたいと思います。
漢字苦手を無くす
私は、
2013年から中学受験業界で仕事をしており、
中学受験国語講師として独立して指導をしておりました。
小学生の勉強に
日々向き合っていると
大人が思っている以上に
「漢字が苦手」
と感じている受験生が多いです。
大人からすると
「漢字」=「暗記分野」
と軽く考えてしまいがちですが、
小学校指導要領の漢字を
先取り学習でこなしていくのは
負担の大きい勉強です。
中には
「漢字をやってもやっても実力がつかない子」
もいます。
そういった受験生は
「うまくいかない勉強法」
で漢字学習に取り組んでいます。
この記事で紹介するような
「ちょっとした工夫」
や
「良質な参考書」
で漢字の苦手を克服することができます。
他の科目の勉強にも応用できる
優れた学習法は
1つの分野に縛られず、
他の分野や科目にも応用が可能です。
今回紹介する学習法は
漢字が苦手な子のみならず
すでに漢字で高得点がとれている子
や
もっと学習効率をあげたい子
すべてに
自信をもっておすすめできる内容
になっています!
この記事をおすすめできる人
- 漢字学習が苦手な人
- 漢字で安定して得点をしたい人
- より優れた学習法を知りたい人
漢字ができれば勝運が傾く!
入試で一番最初に解くのは漢字問題
中学入試で
一番最初に行われる科目は
国語です。
国語で
一番最初に解く問題は
「漢字問題」です。
つまり、
中学受験本番で
一番最初に解くのは
「漢字問題」
ということになります。
漢字を制するものは入試を制する!
「中学受験本番で最初に解くのは漢字」
なぜこの話をわざわざしているのか?
それは、
「漢字が出来ないこと」
によるリスクが高いためです。
大人以上に
小学生は、
”感覚”や”勢い”
の影響を受けます。
特に中学受験は三日、四日と連日の戦いになります。
そんな中で、
「勢い」を手に入れること
は非常に強い武器となります。
仮に
受験本番で最初に解く
「漢字問題」
ができない場合
「調子が悪いな…」
「あれ、漢字で得点しないと10点分減点だな…」
「まずい、読解問題を完ぺきにしないと…」
「(焦りながら)やばい!速く解かないと…」
といった具合に、
漢字の不出来によって
その後の読解問題が
共倒れで
出来なくなってしまう
可能性があります。
また、読解の記述問題を書く際にも
「漢字がスラスラ書けるのか」
「漢字をおぼろけに書いているのか」
でパフォーマンスが変わり
最終的には
数点の点数差を生み出していきます。
おおげさな言い方にはなりますが
「漢字を制するものは入試を制する!」
と考えて
漢字学習に取り組んでいきましょう。
それほどまでに
漢字は入試全体のパフォーマンスに影響を与える学習分野です。
漢字が苦手になってしまう勉強法3選
千人以上指導して見えてきた漢字が苦手な子の共通点
冒頭でも書きましたが
私は、中学受験国語の専門塾を開業し、
千人以上の指導実績
があります。
それだけ多くの受験生と向き合ってきて
「この漢字勉強法はNG」
という特徴を3つあげていきたいと思います。
その後
「漢字で高得点を取るための具体的勉強法」
「漢字学習で最高のパートナーとなる良質な参考書」
を紹介していきたいと思います!
【NG勉強法①】意味を理解せず書く
NG漢字勉強法の1つは
「意味を理解せず作業的にひたらす書く」
ということです。
大人からすれば当然のように知っている漢字でも、
小学生にとっては
「意味が分からない言葉」が数多くあります。
意味が分からないこと自体は悪くないのですが、
漢字を覚える過程で
必ず意味を理解して
覚えるようにしてください。
そうしないと
文章の中で登場しても書けなかったり、
意味がわからず読み進める状態に陥ります。
以下に書けるけど意味が分からない漢字の一例を挙げてみます
【要注意!!】中学受験生が書けるけど意味が分からない漢字
潔い
仏頂面
太刀魚
利己的
明文化
故意
能動
是正
律義
いかがでしょうか?
ほんの一例です。
「小学校指導要領」
の範囲内だとしても
意味が抽象的だったり、
なじみの無い言葉
はたくさんあります。
辞書でしっかりと意味を理解した上で
漢字学習を進める大切さがわかりますね。
中学受験国語は
一般的な中学三年生の難易度の文章を読みこなす試験です。
漢字と語彙
については
やりすぎても
やりすぎになることはありません。
どんよくに吸収していきましょう!
ちなみに
語彙力をアップさせるための
最強の学習法とテキストを紹介している記事
はこちらです。
【NG勉強法②】漢字勉強以外で漢字を吸収しようとしない
これは漢字の学習に限ったことではありませんが
「勉強を勉強以外の場所
でしようとしない受験生」
は伸び悩みます。
漢字などはその典型例ですが、
「日常生活」に勉強できるヒントが多く転がっています。
スーパーの商品
学校の教科書
ニュース報道
といった形で漢字や言葉に触れる機会は山のようにあります。
特に時事問題などは受験でも出題されますが、
難しい漢字や言葉を吸収するにはうってつけの素材でしょう。
ご注意いただきたいのは
あくまで
お子様の興味がわく範囲に
絞り勉強のヒントを探してみてください。
ここで親や先生が強制して
「硬派な小説」
を読ませてしまっては
それは勉強に変わってしまいます。
自分もかつてそうだったように
小学生が自分から興味を懐く分野は
そんなにハイレベルなものではありません。
・ライトノベル
・マンガ
・アニメ
・ドラマ
・雑誌
・音楽
といった形で
とにかく敷居を下げてあげましょう。
そして、
その中で漢字や中学受験に関連する知識を一緒に見つけてあげましょう。
そうすると
勉強以外の場所でも勉強
ができます。
復習もできるし、
何より勉強に前向きになれます。
ちなみに
中学受験生向けに
おすすめのマンガを特集した記事も
ございます。
【NG勉強法③】まとめて覚えてまとめて忘れる
いわゆる
「詰め込み暗記」
ですね。
塾のカリキュラムは非常に密度が高く
覚えきれないので
詰め込み的に覚えていくことも一定仕方が無い部分がありますが、
なるべくは、
毎日少しずつ覚えていきましょう
長期記憶を形成するためのコツは
少しずつ覚えて少しずつ復習する
ことです。
月並みな言葉ですが、
「継続は力なり」
「塵も積もれば山となる」
の考え方で学習に向き合っていきましょう!
〈完全版〉漢字を得意にする具体的勉強法
漢字苦手は未然に防げる!具体的勉強方法5選
ここからは
具体的勉強法
と
厳選テキスト
を紹介していきます!
【重要度★★★★★】小学校指導要領を完ぺきに
中学受験国語では
難関校であっても
「小学校指導要領」
から逸脱することはまずありません!
一部の学校では
「漢字読み問題」について
小学校指導要領範囲外で出題されていることがありますが
ほとんどすべての問題が
「小学校指導要領」の範囲内
で作成されています。
中学受験であるからといって
小学校指導要領範囲外の漢字学習
をする必要性は非常に低いです。
ただ
小学校指導要領の範囲と言っても
組合せによっては
得点が難しい問題を作成可能です。
以下にサンプルを用意しました。
小学校指導要領範囲であっても正解が難しい漢字の例
・イサイは来週の会議でお話しましょう 解答:委細
・広く世界にモンコを開く 解答:門戸
・ジンジュツをもった医者になる 解答:仁術
・寺の中に柱がリンリツする 解答:リンリツ
いかがでしょうか?
すべて小学校で習う範囲ですが
組合せ次第では、正当率が低い問題になりますね。
ちなみに
この問題は後ほど紹介する
「漢字の要」にすべて掲載されています!
漢字の要パート1
を完ぺきにできれば
漢字に関しては怖い物なしでしょう。
小学校指導要領範囲を何度も復習して完ぺきにすることを心がけてください!
【重要度★★★★★】復習サイクルの管理
次に復習サイクルについてです。
この復習サイクルを
いかに管理するかが、
受験勉強全体の鍵になっていきます。
NG勉強法では
「まとめて覚える」のを辞めることを紹介いたしました。
では理想の復習方法はどのようなものでしょうか?
以下のポイントを意識してみてください。
復習ポイントまとめ
- 毎日少しずつ範囲を広げる
- 前日の復習を行う
- 週末に全体を確認する
- スキマ時間を使う
こちらが復習のポイントになります。
当たり前のことです。
トッ10%はこの当たり前を淡々とこなせています。
逆に言えば
当たり前をこなすだけで上位10%
に入ることができるのです。
漢字学習に当てはめるならば下記のようなスケジュールになるでしょう。
【必見】記憶定着率バツグンの漢字学習スケジュール
~漢字50個を一週間で覚える場合~
月曜日:新しい10個を覚える
火曜日:新しい10個を覚える+月曜日の漢字の復習
水曜日:新しい10個を覚える+火曜日の漢字の復習
木曜日:新しい10個を覚える+水曜日の漢字の復習
金曜日:新しい10個を覚える+木曜日の漢字の復習
土曜日:50個全体の復習
日曜日:50個全体の復習
いかがでしょうか?
少しずつ覚えつつ、少しずつ復習するようにスケジュールができあがっていると思います。
また、ポイントは土日にまとめて全体を復習していることです。
こうすることで
記憶のネットワークがより強固になり、
学習対象が長期記憶となっていきます。
ただ、
「そもそも復習する時間が無い」
というお声があると思います。
断言しましょう
時間は
「作るもの」
です。
学生に限らず、
大人も
「時間が有り余って仕方が無い」
という状況は基本的にありません。
受験という厳しい試練に臨むのであれば
なおさら
「時間は無くて当然」
という世界なのです。
皆時間が無い中で
「復習をこなせている人」
と
「復習をこなせていない人」
に大きく分かれます。
それはなぜか?
「時間を作っているか」
の違いです。
時間が無いという受験生に限って
授業前は友人と雑談していたり、
待合室で待つ時ぼーっと待っていたりします。
まさにその時間こそ
復習の時間なのです。
聞き飽きたという方もいらっしゃると思いますが
「スキマ時間」こそ
成績をあげる最大の鍵なのです。
スキマ時間はじっくりと何かを吸収できる時間
ではないので
基本的に復習にあてましょう。
まさに漢字の学習にうってつけと言えるでしょう。
【重要度★★★★★】意味を理解して覚える
「機械的に何も考えず覚える」という作業は
基本的には辞めましょう。
もちろん、
機械的に覚えざるを得ない学習領域は存在します。
ただ、漢字については
1つ1つの言葉に意味が含まれていますので、
その意味を含めて覚えていきましょう。
ただいきなり意味を調べて学習するというのは
ハードルが高いです。
ここでは、
・意味を覚えることが重要な漢字
・テストでも頻出
・学習の過程で否が応でも意味を覚える必要がある
という3つの特徴を兼ね備えた
「同音異義・同訓異字」
の学習範囲を紹介します。
テストでも超頻出の漢字学習の目玉となる論点です。
具体的には以下のような言葉です。
同音異義
「タイショウ」
⇒小学生をタイショウとしたミュージカル 解答:対象
⇒左右タイショウの図形 解答:対称
⇒標本を比較タイショウする 解答:対照
「ホショウ」
⇒製品の品質は1年間ホショウする 解答:保証
⇒事故による損失をホショウする 解答:補償
⇒日米安全ホショウ条約 解答:保障
「コウエン」
⇒コウエンでボール遊びをする 解答:公園
⇒子育てに関するコウエン会に行く 解答:講演
⇒芝居のコウエンを見る 解答:公演
同訓異字
「ツトメル」
⇒会社にツトメル 解答:勤める
⇒委員長をツトメル 解答:務める
⇒改善にツトメル 解答:努める
「ノゾム」
⇒遠くの島をノゾム 解答:望む
⇒海をノゾム飲食店 解答:臨む
「ハカル」
⇒重さをハカル 解答:量る
⇒長さをハカル 解答:測る
⇒実力をハカル 解答:計る
⇒解決をハカル 解答:図る
いかがでしょうか?
こちらはほんの一例ですが、
大人でも難しいと感じるかと思います。
丸暗記ではなく、
意味を理解して覚える必要があります。
「機械的に覚えるクセ」を修正する
ためには
非常に良い教材となります。
さらに
テスト最頻出の知識
でもあります!
こちらのテキストだと
漢字の違いをイラストを用いて
わかりやすく解説してくれています。
また、さらに、小学生向けに
掲載されている漢字も厳選されているので
ほどよい量と難易度に仕上がっています!
超オススメです!
【重要度★★★★★】間違えた漢字のデータ化
Excelを用いて、
間違えた漢字のデータを集めておきましょう!
Excelを持っていなければ
GoogleスプレッドシートでOKです。
表計算ソフト
に
間違った問題と解答をストックしていき
定期的に印刷して再テストしていきましょう。
参考書等に手書きで書き込んでいくのもOKですが、
情報の管理が大変になってしまうので、
デジタル管理が効く場合は
積極的に活用していきましょう!
【重要度★★★★☆】漢検の活用
小学校4年生以下は受験まで時間があるので、
漢検を活用して漢字の学習を進めましょう!
漢検は受検日が
2月6月11月と決まっており、
受検日に向けて目標を決めて
学習を進められます。
さらに漢検に合格したという実績が付き
自信も向上するでしょう。
小学校指導要領は漢検5級までとれれば
修了します。
以下の対応表を参考に
学習を始めていきましょう!
【中学受験生向け】漢字検定、どの級を受ければ良い!?
漢字検定と小学校の指導要領範囲の対応表
漢検5級 | 小学校六年生修了程度 |
漢検6級 | 小学校五年生修了程度 |
漢検7級 | 小学校四年生修了程度 |
漢検8級 | 小学校三年生修了程度 |
漢検9級 | 小学校二年生修了程度 |
漢検10級 | 小学校一年生修了程度 |
中学受験国語では小学校指導要領範囲を学習しておけばOKです。
漢検5級までの取得を目指そう
中学受験国語において、漢字の出題範囲は「小学校指導要領範囲」内であることがほとんどです。
基本的には「小学校指導要領範囲」を完璧にするという勉強法で問題ありません。
漢検公式の問題集で学習しよう
日本漢字能力検定協会から公式に「漢検対策問題集」が出版されています。
こちらのテキストを元に漢検の学習を進めていきましょう。
漢検五級(小学校6年生範囲)
漢検六級(小学校5年生範囲)
漢検七級(小学校4年生範囲)
漢検八級(小学校3年生範囲)
漢検九級(小学校2年生範囲)
漢検十級(小学校1年生範囲)
漢検協会から出ている
公式問題集が漢検学習には一番オススメです!
【重要度★★★☆☆】テキストの絞り込み
最後のコツは
「使用するテキストを絞り込む」
ということです。
中学受験はただでさえ、
使用するテキストが多岐にわたります。
多くのテキストを使わなければ
いけない場合以外は、
極力テキストを絞り込んでいきましょう。
これまでもいくつかのテキストを紹介しておりますが、
最初から
「一冊のテキスト」
に絞り込むわけではありません。
漢字学習を一通り終わらせてから
復習に使うテキストを
絞り込んでいきます。
漢字学習に関しては
SAPIXが出版している
「漢字の要」
が
圧倒的におすすめです。
✔頻出の書き読み
✔同音異義
✔同訓異字
✔四字熟語
✔三字熟語
✔類義語/対義語
✔筆順/画数
✔部首
✔送り仮名
✔かなづかい
✔音読み/訓読み
✔熟語の構成
などなど
中学受験国語の漢字で出題される
ありとあらゆる論点が網羅されています。
さらにこのテキストは、
「入試で気をつけるべきポイント」
という観点で情報が整理されている点もすばらしいです👍
それぞれの漢字で
どこを気をつけたら良いか
ワンポイントアドバイスがついているのです
漢字の要はパート1・2・3、三冊発売されています
パート1を何度も繰り返し定着させるのみ
で学習量としては十分です。
<おまけ>学年別漢字勉強法
小五までに「小学校指導要領」をマスターできると強いです
中学受験国語の問題において
漢字の読み書き問題は
基本的に「全問正解がマスト」になります。
難しい問題が出題された場合であれば、
「8~9割の得点率」が求められます。
こういった事情を踏まえると
単純暗記項目である漢字学習は
早期にマスターできると大きな武器になるでしょう。
漢字の読み書きが強いということは
読解でも記述でもアドバンテージになっているということです。
漢検を使ったおすすめ学習計画
※漢検7級=小四レベル 漢検6級=小五レベル 漢検5級=小六レベル
時期 | 中堅校志望 | 難関校志望 |
---|---|---|
小四前期 | 漢検7級取得 | 漢検7級取得 |
小四後期 | 漢検6級勉強 | 漢検6級取得 |
小五前期 | 漢検6級取得 | 漢検5級取得 |
小五後期 | 漢検5級勉強 | |
小六前期 | 漢検5級取得 |
中学受験では、
「小学校指導要領」の漢字読み書きをマスターしていれば、
難関校でも戦うことができます。
※語彙として難しい漢字が出てくることもありますが、それは別途語彙対策本なので覚えればOK
とにかく小学校の漢字をなるべく早くマスターすることが目標となります。
上記スケジュールのように
漢検をうまく活用して小学校指導要領の漢字をマスターしていきましょう。
上記スケジュールよりも早く習得しても全然OKです!
実際低学年で漢字の小六範囲学習を終わらせてしまう御家庭も多いです!
ただあくまでお子様のペースに
あわせて適切な目標設定をしていきましょう!