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中学受験の作文では、「ですます調」「である調」どちらが適切?

中学受験の作文では、「ですます調」「である調」どちらが適切?

この記事書いた人「神泉忍」について

  • 慶應義塾大学総合政策学部卒
  • 2013年から10年以上中学受験指導に携わる
  • 2017年からは、オンライン指導とオフライン指導を並行して実施する私塾を開設
  • 国語と作文指導が専門
  • YouTubeで受験関連の情報を発信中
  • 中高一貫校専門作文添削塾を運営中
  • 事業会社にてWEBマーケティング領域業務にも従事
  • 当サイトではアフィリエイトプログラムを使用しています

この記事の結論

  • どちらの文体でも減点対象にはならないが、基本的には読み手への丁寧な姿勢が伝わる「ですます調(敬体)」を選ぶのがおすすめ
  • 「である調(常体)」は、小学生が使うと尊大な印象を与えたり、内容の幼さと口調の強さが乖離したりするリスクがある点に注意
  • 最も避けるべきは同一答案内での文体の混在であり、書き始めから終わりまでどちらかのルールを貫くことが鉄則
  • 自分の文章の癖や論理の飛躍は自分では気づきにくいため、第三者の添削を受けて客観的なアドバイスをもらうのが得点力アップの近道
目次

中学受験の作文は「ですます調(敬体)」「である調(常体)」どちらが適切?

【結論】「ですます調(敬体)」で書くのがおすすめ

結論から述べると、どちらの文体を使っても問題はありませんが、小学生には「ですます調(敬体)」をおすすめします。なぜなら、敬体を使うことで文章全体が柔らかい印象になり、読み手である採点官に対して丁寧な姿勢を示すことができるからです。 作文試験は、自分の考えを相手に伝えるコミュニケーションの一つでもあります。無理に大人びた表現を使おうとするよりも、等身大の言葉で丁寧に語りかけるほうが、好印象を与えやすいといえるでしょう。

公立中高一貫校の作文試験では、「ですます調(敬体)」で書くのがおすすめな4つの理由

1.意見そのものの価値ではなく、文章を論理的書けるかどうかを試されている試験だから

公立中高一貫校の適性検査における作文は、画期的なアイデアや独創的な意見を求めているわけではありません。問われているのは、自分の意見を筋道立てて説明し、相手に納得してもらえるように伝える論理構成力です。 

書き手がその分野のスペシャリストで、「この人が何を考えているのか知りたい」という動機で読み手が文章を読んでいるのであれば、「である調(常体)」で書くことにより、読み手に突き刺さる可能性は高いです。しかし、中学受験の作文は、受検生の考えを聞きたいというよりも、考えに至るプロセスが適切に整理されているかを試すものです。

2.「である調(常体)」は断定的で上から目線な印象を与えるから

「である調(常体)」は、文章が引き締まる反面、使い方を誤ると非常に強く、尊大な印象を与えてしまうリスクがあります。特に、自分の主張を裏付ける根拠が弱い場合に常体を使うと、単なる決めつけや、独りよがりな主張に見えてしまいがちです。 読み手である採点官は大人ですので、小学生が無理に強い口調で書くと、背伸びをしているような違和感を持たれる可能性があります。不要なマイナス印象を避けるためにも、柔らかい表現を選ぶほうが無難です。

3.内容に稚拙さが残る小学生の文章においては、「である調(常体)」は不釣り合いだから

小学生の段階では、社会経験や知識の量に限りがあるため、書かれる内容にはどうしても幼さが残ります。その内容に対して、文体だけが威厳のある「である調」だと、内容の幼さと口調の強さが乖離し、文章全体のバランスが悪くなってしまうのです。

 「〜だ」「〜である」と言い切るには、それ相応の説得力のある根拠が必要です。内容に見合った適切な言葉遣いを選ぶという意味でも、敬体のほうが小学生の文章にはなじみやすいといえます。

4.中学受験の作文問題は、制限文字数が400文字程度で、密度の高い情報を論理的に届けられるわけではないから

多くの中学受験の作文は、400字から600字程度の短い文字数制限の中で書く必要があります。この短さで客観的な事実だけで論証することは難しく、どうしても自分の体験や主観的な感想が中心にならざるを得ません。 「私はこう思う」「私はこう体験した」という主観的な内容を述べる際には、断定的な常体よりも、丁寧な敬体のほうが自然な流れになります。限られた文字数の中で共感を得るためにも、親しみやすい文体が適しています。

「である調(常体)」で書くと減点されることはある?

”「である調(常体)」だから減点される”ということはない

誤解のないように伝えておきますが、「である調」を使ったからといって、それだけで減点されることはありません。採点基準において最も重視されるのは、設問の意図を正しく理解しているか、そして日本語として正しい文法で書かれているかという点です。 普段から常体で書き慣れていて、論理的な文章が書けるのであれば、そのままのスタイルで挑んでも合格点は取れます。重要なのは文体そのものではなく、中身の質であることを忘れないでください。

ただ、試験の性質をかんがみると、「ですます調(敬体)」の方がおすすめ

減点対象ではないとしても、リスク管理の観点からはやはり「ですます調」が無難です。試験本番の緊張下では、使い慣れない強い言葉を使ってしまい、論理が飛躍してしまうミスが起こりやすくなるからです。 合格するために必要なのは、加点を狙って背伸びをすることではなく、ミスを減らして堅実に点数を積み上げることです。特段の理由がない限り、リスクの少ない丁寧な文体を選択することをおすすめします。

最も避けるべきは、「ですます調(敬体)」と「である調(常体)」が同一の解答内で交じり合っていること

作文試験において、最もやってはいけないミスの一つが、文体の不統一です。「~だと思います。だから、~である。」のように、敬体と常体が混在している文章は、基本的な文章作成能力が不足しているとみなされ、大きく減点される可能性があります。 書き始める前にどちらの文体にするかを明確に決め、最後の一文までそのルールを貫くことが鉄則です。見直しをする際は、文末表現が統一されているかを必ず確認するようにしてください。

テーマごとに「ですます調(敬体)」と「である調(常体)」を使い分ける必要はある?

手紙文や提案文を書く問題であれば、「ですます調(敬体)」で書こう

出題形式によっては、文体の選択の余地がない場合もあります。例えば、「住民への手紙」や「全校生徒への提案」という形式で書くよう求められた場合は、相手への敬意を表すために必ず「ですます調」を使う必要があります。 このような場面で常体を使ってしまうと、形式要件を満たしていないと判断されかねません。設問文をよく読み、誰に向けて書く文章なのかを把握することが大切です。

地球環境問題や少子化、地域課題の解決など、社会性が高いジャンルは、「ですます調(敬体)」が良い

社会問題などの複雑なテーマについて書く場合も、敬体が適しています。これらは専門家でも解決が難しい問題であり、小学生が「こうすれば解決する」と断定的に書くことは、現実的ではないからです。 「〜という方法も考えられます」「〜していくことが大切だと思います」のように、提案や推測を含んだ表現にするほうが、視野の広さと慎重さを示すことができます。謙虚な姿勢で考察を深めることが、評価につながります。

中高生活への意気込みなど、自分の思いを書くのであれば、「である調(常体)」もあり

一方で、「中学校で頑張りたいこと」や「将来の夢」といった個人の決意を述べるテーマであれば、常体も選択肢に入ります。自分自身の内面や意志を表現する場合、「〜したい」「〜するつもりだ」と言い切ることで、強い決意をアピールできるからです。 ただし、これまでの練習で敬体をメインにしてきたのであれば、無理に変える必要はありません。自分の書きやすいスタイルで、熱意を伝えることを優先してください。

中学受験の作文で安定的に点数を取るためには?

個別添削を受けるのがおすすめ

作文のスキルを向上させるためには、自分ひとりで練習するだけでは限界があります。自分の文章の癖や、論理の飛躍は自分では気づきにくいため、第三者に添削してもらうことが最も効果的な上達法です。 塾の先生や通信教育などを活用し、客観的な視点からアドバイスをもらうようにしましょう。何度も書き直し、フィードバックを受けるプロセスを繰り返すことで、合格できる答案作成力が身についていきます。

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