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公立中高一貫校対策の塾にはいつから通うべき?中学受験プロ講師が徹底解説します

公立中高一貫校対策の塾にはいつから通うべき?中学受験プロ講師が徹底解説します

公立中高一貫校を目指すお子さまの塾通いは、いつから始めるべきか、多くの保護者が悩む問題です。「周りのお子さんはもう始めている」と聞くと、焦りを感じてしまうことでしょう。しかし、塾やインターネットで勧められる「早期からの通塾」は、本当にすべてのお子さまにとって最善の選択なのでしょうか。

この記事の著者である私は、10年以上中学受験指導に携わり、これまで600人以上の生徒を指導してきたプロ講師です。

この記事書いた人「神泉忍」について

  • 慶應義塾大学総合政策学部卒
  • 2013年から10年以上中学受験指導に携わる
  • 2017年からは、オンライン指導とオフライン指導を並行して実施する私塾を開設
  • 国語と作文指導が専門
  • YouTubeで受験関連の情報を発信中
  • 中高一貫校専門作文添削塾を運営中
  • 事業会社にてWEBマーケティング領域業務にも従事
  • 当サイトではアフィリエイトプログラムを使用しています

この記事を最後まで読めば、溢れる情報に惑わされることなく、お子さまの性格やご家庭の方針に合った「我が家だけの合格戦略」を立てるための、確かな判断基準がわかります。後悔のない選択をするために、ぜひご一読ください。

この記事でわかること

  • 公立中高一貫校対策塾にいつから通うべきか
  • 低学年から受験を意識する場合どのように学習を進めていくべきか
目次

公立中高一貫校対策塾にはいつから通うべき?

「塾」に通って対策をするのであれば受験の一年前(小6になる前<小5の2月>)でOK

公立中高一貫校の受検対策を塾で行う場合、本格的なスタートは小学6年生になる直前の、小学5年生の2月頃で十分間に合います。なぜなら、公立中高一貫校の適性検査は、私立中学受験のように特殊な知識の暗記量を問うものではないからです。むしろ、小学校で学んだ知識を土台として、物事を多角的に捉える思考力や、自分の考えを分かりやすく表現する力が求められます。

したがって、長期間にわたり塾でテクニックを学ぶよりも、まずは小学校での学習内容をしっかりと定着させ、実体験を通して思考の幅を広げておくことが重要です。その上で、約1年間で志望校の出題傾向に合わせた対策を集中的に行う方が、効率的かつ効果的と言えるでしょう。

小六になる前からだと遅すぎない?…

ネットや塾のカウンセリングでは、低学年からの通塾を薦められた

インターネットで情報を集めたり、塾の個別相談会に参加したりすると、「公立中高一貫校対策は早期から始めるべきです」といった情報を目にすることが多いでしょう。「周りのお子さんはもう始めていますよ」と聞かされると、「うちの子だけ出遅れてしまうのではないか」と不安な気持ちになるのは当然のことです。しかし、それらの情報を鵜呑みにする前に、本当に低学年からの通塾が必要不可欠なのか、一度立ち止まって冷静に考える必要があります。保護者の不安な心理に寄り添う形で、早期通塾を促す情報が溢れているのが現状です。

公立中高一貫校は対策が難しいとよく聞くので、早期に通った方がいいのではと心配してしまう…

公立中高一貫校の適性検査は、決まった出題範囲がなく「対策が難しい」とよく言われます。私立中学受験のように、算数ならつるかめ算、国語なら物語文の読解といった典型的な問題演習だけでは対応できないためです。資料を読み解いて分析したり、社会問題について自分の意見を記述したりと、対策が漠然としているように感じられるでしょう。

だからこそ、何をすれば良いのか分からないという不安から、「早くから専門家である塾に任せた方が安心だ」という考えに至りやすいのです。この「対策の難しさ」が、保護者の不安を煽り、早期からの通塾へと気持ちを傾かせる大きな要因の一つとなっています。しかし、その「対策の難しさ」の本質を理解することが重要です。

公立中高一貫校対策塾に低学年から通う必要がない理由

理由1.少子化の影響で、低学年から通塾してもらうようにマーケティング戦略が組まれている

まず知っておくべきなのは、塾も営利企業であるという点です。少子化が進む現代において、生徒の獲得競争は年々激化しています。そのため、多くの塾では、一人でも多くの生徒を早期に確保するためのマーケティング戦略が組まれています。

具体的には、保護者の不安を煽り、「早く始めないと手遅れになる」という危機感を抱かせることで、低学年のうちから入塾させようとします。一度入塾すれば、長期的な収益が見込めるため、塾側にとっては低学年からの囲い込みが経営的に非常に重要です。したがって、「早期教育の重要性」が強調される背景には、こうしたビジネス的な側面があることを理解しておく必要があります。

理由2.上位表示されているネット記事は、塾のアフィリエイト商材を紹介しているので、通塾に誘導しようとしている

インターネットで「公立中高一貫校 塾」などと検索すると、様々な情報が見つかります。しかし、その多くは注意して読む必要があります。なぜなら、検索結果の上位に表示される記事の多くは、特定の塾を紹介して広告収入を得る「アフィリエイト」を目的として作成されているからです。記事の作成者は、客観的な情報提供よりも、読者を塾の体験授業や資料請求に誘導することを優先します。その結果、必然的に「塾に通うメリット」や「早期から始めるべき理由」が強調され、通塾ありきの結論に導かれやすくなっています。保護者としては、ネット上の情報を参考にする際は、その情報の発信源や目的を冷静に見極めるリテラシーが求められます。

理由3.仮に通塾したとしても基本的な学習をすることになるので、コスパが悪い

仮に小学校低学年から塾に通ったとしても、そこで行われる授業内容は、学校で習う漢字や計算の反復練習、基本的な文章読解など、基礎学習が中心となる場合がほとんどです。もちろん基礎学力は非常に重要ですが、その内容は市販のドリルや家庭学習でも十分にカバーできるレベルです。特別な専門性が求められるわけではない学習内容に対して、毎月数万円という高額な授業料を支払うのは、費用対効果の面で決して良いとは言えません。本格的な適性検査対策が始まるのは、やはり高学年になってからです。それまでの期間、家庭でできる基礎学習のために高いコストを払い続ける必要があるのかは、慎重に検討すべき点です。

理由4.公立中高一貫校の試験は思考型なので、通塾以上に自分で考えて学習する習慣が大切

公立中高一貫校の適性検査で最も重視されるのは、知識の量ではなく、自ら課題を見つけ、情報を整理し、論理的に考えて答えを導き出す「思考力」です。この力は、塾で講師の話を聞いて板書を写すといった受け身の学習だけでは、なかなか身につきません。

日常生活の中で「これはどうしてだろう?」「自分だったらどうするかな?」と物事を深く考えたり、粘り強く問題に取り組んだりする主体的な学習習慣こそが、思考力を鍛える上で最も重要です。塾に通うことで学習時間が増えたとしても、それが「やらされている」勉強であれば、本質的な思考力の育成には繋がりにくいでしょう。

理由5.低学年のうちは、実体験を増やすことに重きをおいた方がいい

適性検査では、理科的な分野では身の回りの自然現象、社会的な分野では地域の特色や環境問題など、子供たちの実生活に根差したテーマが数多く出題されます。机上の知識だけでなく、実際に見て、触れて、感じた経験が、問題への理解度や解答の深みを大きく左右します。低学年の貴重な時間を塾の教室で過ごすよりも、家族で博物館に出かけたり、キャンプで自然に触れたり、様々な本を読んで多様な世界を知るなど、実体験を豊かにすることに時間を使う方が、将来の受検に良い影響を与えます。こうした経験の引き出しの多さが、ペーパーテストでは測れない本当の意味での「学力」となり、思考力や表現力の土台を築くのです。

理由6.受験学年以外のクラス担任は指導歴の浅いアルバイト講師が授業を担当することが多い

大手進学塾と聞くと、経験豊富なプロ講師による質の高い授業を期待するかもしれません。しかし、多くの塾では、合格実績に直結する受験学年(小6)にこそ、エース級の正社員講師を配置する傾向があります。その結果、低学年のクラスは、指導経験の浅い大学生のアルバイト講師が担当しているケースも少なくありません。もちろん熱心な学生講師もいますが、高い授業料を支払っているにもかかわらず、必ずしもプロの指導が受けられるとは限らないのが実情です。お子様の大切な学習を任せるのですから、どのような経歴の講師が担当するのかは、事前に確認しておきたい重要なポイントの一つです。

頭では、通塾がすべてではないことがわかっているけど、やっぱり不安…

確かに通塾にもメリットはある

ここまで低学年からの通塾の必要性について慎重な見方を示してきましたが、通塾にメリットがないわけではありません。塾に通うことで、家庭学習だけでは難しい「学習ペースの管理」がしやすくなったり、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できる環境に身を置けたりします。特に、共働きで家庭での学習サポートが難しいご家庭にとっては、塾が学習習慣を確立する上で大きな助けとなることも事実です。また、定期的に行われる模試によって、客観的な学力の立ち位置を把握できる点も大きなメリットと言えるでしょう。大切なのは、これらのメリットとデメリットを天秤にかけ、ご家庭の方針とお子様の性格に合っているかを判断することです。

公立中高一貫校対策塾に早期から通うメリットまとめ

受験勉強に早期から子供が慣れる

低学年から塾に通うことのメリットとして、まず「受験勉強」という特殊な環境に早期から慣れることができる点が挙げられます。小学校の勉強とは異なり、決められた時間内に集中して問題に取り組み、テストで点数を競うという経験を早い段階から積むことができます。これにより、高学年になって本格的な受験シーズンに突入した際も、勉強を特別なことと捉えずに、生活の一部としてスムーズに学習習慣へ移行できる可能性が高まります。長時間の学習に耐える体力や集中力を、遊びの延長線上のような感覚で、無理なく少しずつ養っていけるのは早期通塾ならではの利点と言えるでしょう。

模試やテストなどで客観的に学力を測定できる

塾に通う大きなメリットの一つは、定期的に実施される模試や学力テストです。学校のテストは、基本的にクラス内での相対的な評価しか分かりません。しかし、塾の模試では、同じ公立中高一貫校を目指す多くのライバルの中での、お子様の客観的な学力レベルや立ち位置を正確に把握することができます。偏差値や順位といった具体的な数値で現状を知ることで、得意分野と苦手分野が明確になり、その後の学習計画を立てる上での重要な指標となります。また、テストの点数という形で努力の成果が目に見えることは、お子様のモチベーション維持にも繋がります。

市販されていない専門的な教材を入手できる

塾が持つ長年の指導ノウハウやデータが凝縮された、専門的な教材を入手できることも大きなメリットです。公立中高一貫校の適性検査は、出題形式が独特であるため、市販の教材だけでは対策が難しい側面があります。その点、塾で提供される教材は、過去の出題傾向を徹底的に分析し、頻出テーマや思考力を養うための良問が厳選されているため、非常に効率的な学習が可能です。

【やっぱり通った方がいい⁉︎】塾との上手な付き合い方

追加講座や追加教材に踊らされない

塾に通い始めると、通常授業に加えて「春期講習」「夏期講習」「冬期講習」といった季節講習や、「志望校別特訓」「作文集中講座」などの追加講座を勧められる機会が増えます。また、「合格への道」といったタイトルのついた高価な追加教材の案内もあるでしょう。塾側も商売ですから、様々な講座や教材を提案してきますが、それらが本当にお子様にとって必要かを冷静に判断する視点が不可欠です。「みんなが受けるから」という理由で安易に申し込むのではなく、現在の学習状況や課題と照らし合わせ、本当に弱点補強に繋がるのかを家庭内でよく話し合ってから決めるようにしましょう。

親が受験校については一次情報を追って詳しくなる

塾は受験のプロですが、情報源を塾だけに依存してしまうのは危険です。なぜなら、塾が提供する情報は、塾の指導方針や合格実績というフィルターを通したものだからです。保護者自身が志望校の公式サイトを定期的に確認し、学校説明会や文化祭に足を運んで、教育理念や校風、求める生徒像などを肌で感じることが何よりも重要です。学校が発信する一次情報に直接触れることで、塾からの情報だけでは得られない学校の本当の姿が見えてきます。こうした主体的な情報収集が、お子様に合った学校選びや、入学後のミスマッチを防ぐことに繋がるのです。

親が過去問の分析をして一次情報に詳しくなる

志望校の過去問は、最高の一次情報です。塾でも過去問演習は行いますが、保護者自身が実際に問題に目を通し、「どのような力が問われているのか」を分析することが極めて重要です。例えば、文章記述の量、資料の複雑さ、課題の発見・解決能力を問う問題の割合などを把握することで、家庭学習で何をすべきかが具体的に見えてきます。「この学校は社会問題に関心がある生徒を求めているな」「理科的な思考力と表現力が必要だな」といった分析ができれば、日々の声かけや、週末に出かける場所のヒントにも繋がります。塾任せにせず、親が過去問の専門家になるくらいの意識が大切です。

模試や過去問の点数からすべきことを考える

模試や過去問の結果が返ってくると、どうしても偏差値や合格判定に一喜一憂してしまいがちです。しかし、最も大切なのはその先です。点数や順位だけを見て終わりにするのではなく、結果を分析し、次への具体的なアクションに繋げなくてはなりません。「どの分野で点数を落としたのか」「なぜ間違えたのか(知識不足、時間切れ、勘違いなど)」を親子で一緒に振り返り、「では、次のテストまでに何をすべきか」を考えましょう。例えば、計算ミスが多いならドリルを毎日1ページやる、作文の構成が苦手なら要約の練習をするなど、具体的な課題を設定することで、模試の結果を学力向上のための貴重な羅針盤として活用できます。

担当講師の経歴を詳しく聞く

お子様の成績を左右する大きな要因の一つが、担当講師の質です。集団塾の場合、どの講師が担当になるかは運次第という側面もありますが、保護者として無関心でいるべきではありません。入塾前の面談や、定期的に行われる保護者面談の機会を活用し、担当講師の指導経歴や合格実績、どのような点を意識して指導しているのかなどを具体的に質問してみましょう。誠実な塾であれば、そうした質問にも真摯に答えてくれるはずです。お子様の性格や学習状況を深く理解し、的確な指導をしてくれる熱意ある講師に出会えるかどうかは、塾通いの成否を分ける重要なポイントになります。

学校の勉強をおろそかにせず、しっかりと吸収する

塾に通い始めると、塾の宿題や授業の予習復習に追われ、学校の勉強が疎かになってしまうケースが散見されます。しかし、これは本末転倒です。公立中高一貫校の適性検査は、あくまで小学校の学習指導要領の範囲内から出題されるのが大原則です。つまり、学校の教科書で学ぶ内容こそが、全ての基礎となります。塾は応用力を鍛える場であり、基礎が固まっていなければその効果は半減してしまいます。塾に通う場合でも、「まずは学校の授業を完璧に理解する」という姿勢を親子で共有し、日々の宿題や提出物を丁寧に行うことを徹底しましょう。

【塾なしでいけるかも!】公立中高一貫校対策を自宅でやる場合に心がけるべきこと

学校の勉強にしっかり取り組む

塾に通わずに公立中高一貫校受検を目指す場合、学習の基盤となるのは、言うまでもなく学校の授業です。適性検査は思考力を問う問題が中心ですが、その土台となるのは小学校で習う基礎知識です。教科書の内容を100%理解し、漢字や計算といった基本的な学習を完璧に定着させることが、何よりも優先すべき課題となります。特に、報告書(調査書)の点数も合否に関わるため、日々の授業態度や提出物、定期テストの成績も非常に重要です。塾なしでの挑戦は、学校生活そのものが受験対策であるという意識を持つことから始まります。

過去問の研究を行う

塾なしで対策を進める上で、羅針盤となるのが志望校の過去問です。最低でも5年分、できれば10年分ほどの過去問を入手し、親子で徹底的に研究しましょう。どのような形式の問題が、どのくらいの分量で出題されているのか、解答にはどの程度の記述量が求められるのかを分析することで、家庭で何をすべきかという具体的な対策が見えてきます。出題傾向を把握することで、市販の問題集を選ぶ際の基準も明確になります。過去問研究は、志望校がどのような能力を持つ生徒を求めているのかを知るための最も確実な方法です。

受検する学校のリサーチを徹底する

塾に通っていると、様々な学校情報が自然と入ってきますが、自宅学習の場合は自ら積極的に情報を収集する必要があります。志望校のホームページを隅々までチェックするのはもちろんのこと、学校説明会や公開授業、文化祭などには必ず参加しましょう。校長先生の話から教育理念を学び、在校生の様子から校風を感じ取ることで、その学校がお子様に本当に合っているのかを見極めることができます。また、学校の特色や求める生徒像を深く理解することは、面接や作文対策においても非常に重要となります。

個別指導などを上手に活用する

すべての対策を家庭だけで完結させるのが難しいと感じる場面も出てくるでしょう。特に、算数の特殊な問題や、理科の実験考察問題など、保護者では教えきれない分野があるかもしれません。そのような場合は、全ての教科を塾に頼るのではなく、苦手な分野に絞って個別指導や家庭教師を短期的に利用するのも賢い方法です。必要な部分だけをプロに任せることで、コストを抑えながら効率的に弱点を克服できます。オンラインの指導サービスも充実しており、選択肢は豊富にあります。

作文の添削はしっかりと受ける

公立中高一貫校の適性検査において、作文は合否を大きく左右する重要な要素です。そして、この作文こそが独学での対策が最も難しい分野と言えます。自分の考えを論理的に構成し、採点者に伝わるように表現する力は、客観的な第三者からの添削指導を受けて初めて向上します。学校の先生にお願いして見てもらう、地域の作文教室に通う、あるいは通信教育の添削サービスを利用するなど、必ずプロの目で評価してもらう機会を作りましょう。自分の文章のどこが良くて、どこを直すべきなのか、具体的なフィードバックをもらうことが合格への近道です。

通塾するにしても自宅で勉強するにしても大切なことは一次情報に触れ、家庭の中で情報共有と戦略立案をしっかりすること

結局のところ、塾に通うか通わないかは、あくまで公立中高一貫校合格という目標を達成するための「手段」の一つに過ぎません。どちらの道を選んだとしても、最も重要なのは、保護者が主体的に関わる姿勢です。志望校のホームページや説明会で得られる「一次情報」にしっかりと触れ、それを家庭内で共有し、お子様の性格や学力に合わせた「我が家だけの合格戦略」を立案・実行することが不可欠です。塾に任せきりにしたり、情報収集を怠ったりするのではなく、家庭が受検の司令塔としての役割を担うという意識を持つこと。これこそが、公立中高一貫校受検を成功に導くための本質と言えるでしょう。

塾長 神泉

公立中高一貫校対策でおすすめの参考書は「【完全版】公立中高一貫校 作文問題 ゼロから合格までの勉強法」にて解説しています。

低学年のうちに家庭ですべきこと

スポーツや文化活動などで打ち込めるものを見つける

低学年のうちは、机に向かう学習だけでなく、夢中になれることを見つける経験が非常に大切です。それはサッカーや野球といったスポーツでも、ピアノや習字といった文化活動でも構いません。一つのことに打ち込む中で、目標を設定して努力する力、仲間と協力する協調性、そして困難や失敗を乗り越える精神的な強さが養われます。これらの力は「非認知能力」と呼ばれ、すぐにテストの点数には結びつかないかもしれませんが、高学年になって大変な受験勉強を乗り越えるための、人間的な土台となってくれるはずです。

芸術やサブカルなどに触れる

思考力や表現力の土台となるのは、豊かな感性です。低学年のうちに、本物の一流に触れる機会を積極的に作りましょう。美術館で絵画を鑑賞したり、コンサートホールでオーケストラの演奏を聴いたりする経験は、子どもの美的感覚を刺激します。また、必ずしも高尚な芸術だけである必要はありません。親子で夢中になれる映画を見たり、様々なジャンルの音楽に親しんだり、面白いと感じる漫画やアニメの世界に浸ったりすることも、子どもの世界を広げ、多様な視点を育む上で非常に価値のある体験です。こうした文化的な刺激のシャワーが、適性検査で問われる柔軟な発想力の源泉となります。

宿題をベースとした学習習慣を確立する

低学年における家庭学習で最も大切なことは、特別な先取り学習をすることではなく、基本的な学習習慣を確立することです。その中心となるのが、学校から出される毎日の宿題です。「家に帰ったら、まず宿題を済ませる」「決まった時間になったら机に向かう」といった当たり前のルールを、親子で一緒に作り、守っていくことが重要です。この時期に、言われなくても自分で学習に取り組む姿勢を身につけておけば、高学年になって学習量が増えた際にも、スムーズに対応することができます。まずは宿題を完璧にこなすことから始めましょう。

塾長 神泉

公立中高一貫校に向いている子の特徴と受検対策〜いつから何を始めればいいかも解説〜」では、公立中高一貫校試験に求められる資質について解説しています。

勉強で具体的に気を付けるべきこと

国語では漢字&語彙学習&音読を継続的に続ける

全ての教科の基礎となる国語力は、日々の地道な積み重ねによって養われます。特に低学年のうちから徹底してほしいのが「漢字」「語彙」「音読」の3つです。漢字と語彙は、文章を正確に読み解くための基礎体力となります。漢字ドリルや問題集を毎日コツコツ進めるだけでなく、本や新聞で知らない言葉が出てきたら辞書で調べる習慣をつけましょう。そして、教科書や好きな本を声に出して読む「音読」は、読解スピードと内容理解の精度を高める上で絶大な効果があります。これらの学習はすぐに成果が見えにくいですが、継続することで高学年での伸びが大きく変わってきます。

算数ではかけ算&割り算&割合&図形に苦手分野を作らない

算数においては、後々の学習に大きく影響する重要な単元がいくつかあります。特に「かけ算・割り算」「割合」「図形」の3つは、絶対につまずいてはいけない分野です。かけ算・割り算は計算の基本であり、ここでつまずくとその後の文章題は解けません。そして、多くの小学生が苦手とする「割合」は、適性検査の資料分析問題などでも頻出するため、徹底した反復練習で完璧にマスターしておく必要があります。また、図形の面積や体積、角度の問題も、思考力を問う問題としてよく出題されます。これらの重要単元に苦手意識を持つ前に、しっかりと土台を固めておくことが肝心です。

まとめ

公立中高一貫校受検対策では塾以上に家庭学習における基礎学習が大切

ここまで見てきたように、公立中高一貫校の受検を成功させる鍵は、必ずしも塾にあるわけではありません。知識の暗記量よりも、思考力や表現力を問う適性検査においては、塾で学ぶ応用テクニック以前に、盤石な基礎学力が不可欠です。その基礎学力とは、小学校の授業内容を完全に理解し、日々の宿題を丁寧にこなし、家庭での学習習慣を確立する中で育まれるものです。つまり、合否を分ける最も重要な要素は、塾での対策以上に、家庭における地道な基礎学習の積み重ねであると言えるでしょう。

塾に行ったとしても基礎学習をすることになるので、本当に塾に通うべきかはしっかりと考えるべき

仮に早期から塾に通ったとしても、その学習内容の中心は、結局のところ家庭でも実践可能な基礎学習であることがほとんどです。高額な費用をかけて塾に基礎学習を委ねるのか、それとも家庭で工夫して取り組むのか、それぞれのメリット・デメリットを十分に比較検討する必要があります。周りが通っているからという理由で安易に決めるのではなく、お子様の性格やご家庭の教育方針、そして経済的な状況も踏まえ、「我が家にとって本当に塾は必要なのか」を真剣に考える姿勢が、後悔のない選択に繋がるはずです。

公立中高一貫校の対策塾には、いつから通うのがおすすめですか?あまり遅いと手遅れにならないか心配です。

本格的な対策は小学5年生の2月頃からで十分間に合います。公立中高一貫校の検査は、知識の暗記量よりも小学校で学んだ内容を土台にした思考力や表現力を問うためです。低学年のうちは基礎学力の定着と豊かな実体験を優先し、約1年間で集中的に対策する方が効果的です。

ネットや塾では早くからの通塾を薦められますが、なぜ低学年から通う必要はないのですか?

塾の生徒獲得戦略や、通塾へ誘導するアフィリエイト記事の影響があるためです。また、低学年での塾の学習は基礎中心で家庭でも代替可能な場合が多く、費用対効果も考慮すべき点です。情報に惑わされず、お子様とご家庭の方針に合っているかを冷静に判断することが重要です。

塾なしで公立中高一貫校の対策をする場合、家庭では何を心がけるべきですか?

まずは学校の授業を完璧に理解し、基礎学力を固めることが最も重要です。その上で、志望校の過去問を徹底的に研究し、求められる力を把握しましょう。また、学校説明会などで一次情報を得ることや、独学が難しい作文は添削サービスなどを活用することが合格への鍵となります。

子どもがまだ低学年です。将来の受検を見据えて、今から家庭でできることはありますか?

勉強面では、国語の漢字・語彙・音読や、算数の苦手になりやすい単元(割合・図形など)の基礎固めをしましょう。同時に、スポーツや芸術、様々な文化に触れる実体験を増やすことも、思考力や表現力の土台を育む上で非常に重要です。まずは学習習慣の確立を目指してください。

塾に通うことに決めた場合、親はどのような点に気をつければ良いでしょうか?

塾に任せきりにしないことが大切です。保護者自身が学校説明会などで一次情報を集め、過去問を分析しましょう。模試の結果は点数だけでなく、親子で間違えた原因を分析し、次の対策を考えます。追加講座なども必要性を吟味し、家庭が受検の司令塔としての役割を担いましょう。

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