麻布中学校の国語/傾向と対策をプロ講師が解説します

この記事書いた人「神泉忍」について
- 慶應義塾大学総合政策学部卒
- 2013年から10年以上中学受験指導に携わる
- 2017年からは、オンライン指導とオフライン指導を並行して実施する私塾を開設
- 国語と作文指導が専門
- YouTubeで受験関連の情報を発信中
- 中高一貫校専門作文添削塾を運営中
- 事業会社にてWEBマーケティング領域業務にも従事
- 当サイトではアフィリエイトプログラムを使用しています
麻布中学校の国語は、その独特な出題形式と高い記述量が特徴です。例年、長文の小説物語文が中心に出題され、深い読解力と論理的な思考力、そしてそれを正確に表現する記述力が求められます。
この記事では、中学受験プロ講師の神泉忍が、麻布中学校の国語の傾向と対策について、詳細に解説します。過去問の分析から具体的な学習方法、おすすめの参考書まで、合格に必要な情報を網羅的にお届けします。
この記事でわかること
- 麻布中国語の入試問題の傾向
- 麻布中国語で合格点を取るためのポイント
- 麻布中国語対策に使えるテキスト
麻布中学校の国語過去問の出題傾向
長文の小説物語文が出題される
麻布中学校の国語では、毎年長文の小説物語文が出題されます。
- 登場人物の心情の変化
- 物語の背景にあるテーマ
- 出題者の意図を深く読み解く力
- 情報処理能力
- 物語全体を構造的に理解する能力
これらの能力が求められます。
記述問題が中心に出題され、総記述量は、600文字程度のぼる
麻布中学校の国語の特徴として、解答形式が記述問題に中心になっている点が挙げられます。総記述量は600字程度に及び、これは他の中学校の入試問題と比較しても非常に多い量です。
記述問題では、単に答えを導き出すだけでなく、その答えに至るまでの思考プロセスや根拠を明確に示し、論理的に説明する能力が求められます。

部分点も考慮されるため、文字数が満たなくても良いので、解答のコアとなる内容を書くことが大切です。
読解問題が8割程度で知識問題は2割程度出題される
麻布中学校の国語では、出題の約8割が読解問題で構成されており、知識問題は残りの2割程度になります。
制限時間/得点/用紙
- 制限時間60分
- 得点60点
- 問題用紙B5/小冊子形式
- 解答用紙サイズA3
満点が60点という変わった形式なので注意が必要です。また過去問演習の際は、問題用紙、解答用紙をできるだけ実寸大に近い形で印刷して練習することをおすすめします。記述問題は、どれくらいの量を書くべきか、解答欄の大きさによって把握するためです。声の教育社の赤本には、実寸大にするための倍率が掲載されています。
麻布中国語が難しいと言われる理由
長文の小説物語が毎年出題されるため、精神的な成熟が求められる
麻布中学校の国語が難しいと言われる理由の一つに、毎年出題される長文の小説物語文があります。登場人物の複雑な心情の機微や、社会的な背景、あるいは倫理的な問いかけなど、深いテーマを扱っている場合が少なくありません。そのため、表面的な理解に留まらず、登場人物の気持ちを想像したり、物語の示すメッセージを読み取ったりといった、精神的な成熟度が求められます。
ボリュームが多い問題を短時間で読み解き、解答を作り上げる必要がある
麻布中学校の国語は、問題のボリュームが非常に多いにもかかわらず、解答に与えられる時間は限られています。長文の小説物語文を速く正確に読み解くだけでなく、膨大な記述量を短時間で効率的に書き上げる能力が求められます。問題文を読みながら解答のポイントを把握し、効率的に記述を組み立てる練習が不可欠となります。
母集団のレベルが高い
麻布中学校の国語が難しいと感じられるもう一つの大きな要因は、受験者全体の学力レベルが非常に高いことです。相対評価となる入試において、上位の成績を収めるためには、徹底した対策と実践的な演習が不可欠となります。
麻布中の国語で合格点をとるためのポイント
漢字問題は満点を狙う
麻布中学校の国語における漢字問題は、出題数が少ないものの、確実に得点源とすべき箇所です。難易度は標準的で、日頃からの継続的な学習によって満点を狙うことができます。小学校指導要領の漢字から出題されますので、基本から標準レベルの問題集を繰り返し解き、漢字をスムーズに使いこなせるようにしておきましょう。
選択肢問題や文字量が少ない記述問題を確実に得点する
麻布中学校の国語は記述問題が中心ですが、選択肢問題や文字数が少ない記述問題も出題されます。これらの問題は、比較的解答しやすい傾向にあるため、確実に得点源とする必要があります。
文字数が少ない記述問題では、聞かれていることに過不足なく答え、簡潔かつ的確な表現を心がけましょう。



解答文字数の多寡により、どれくらいの文字量を記述できるかを考えて構成を立てる訓練も必要です。
言い換え・対比・因果関係を文中から読み解き、解答に反映できるように訓練する
麻布に限りませんが国語の長文読解では、本文中の「言い換え」「対比」「因果関係」を正確に読み解く力が非常に重要です。例えば、ある言葉が別の表現で言い換えられている箇所を見つけたり、二つの事柄が対比されている意味を捉えたり、ある出来事が別の出来事の原因や結果となっている関係性を把握する訓練を積み重ねましょう。



麻布の100文字超の長文問題では、ほぼ確実に対比関係を書く必要が出てきます。対比を読み解くのが一番簡単ですので、国語が苦手な場合は、対比からマスターするように訓練していきましょう。
出題文が長文であっても、部分的に読んで解答する読解問題が多く出題されているので、そこで失点をしない
麻布中学校の国語では、長文の出題がされますが、必ずしも全文を読まなければ解けない問題ばかりではありません。特定の段落や文脈に限定された内容を問う読解問題も多く出題されています。このような問題では、全文を漫然と読むのではなく、設問が問う内容に焦点を絞り、該当する箇所を素早く見つけ出す「部分読み」のスキルが重要です。
毎年小説物語が出題されているので、心情語を200語程度覚えておく
麻布中学校の国語において、毎年出題される小説物語文対策として、心情語を200語程度覚えることは非常に有効な戦略です。心情語とは、登場人物の感情や心理状態を表す言葉のことで、
- 「安堵」
- 「憂鬱」
- 「葛藤」
などが挙げられます。これらの言葉を事前にインプットしておくことで、物語中の細かな心理描写を正確に理解し、記述問題で的確に表現できるようになります。単に言葉を覚えるだけでなく、それぞれの心情語がどのような状況で使われ、どのような感情を表すのかを、具体的な物語の文脈と結びつけて理解を深めることが重要です。
<基本レベル>ポジティブな心情語
- 愛情・思いやり
- いたわる
- 思いやる
- ねぎらう
- 励ます
- 慈しむ
- 親愛
- 温情
- 優しさ
- 愛おしい
- 親愛感
- 親近感
- 愛着
- 献身的
- ひたむ
- 従順
- 喜び・満足感
- 晴れがましい
- 喜ばしい
- 達成感
- 満足感
- 幸福感
- 安堵
- 安心
- 安らぎ
- 平穏
- 解放感
- ほっとする
- 仲間意識・協力
- 結束
- 協調
- 一体感
- 連帯感
- 自己肯定・誇り
- 自負心
- プライド
- 自信
- 誇り
- 誇らしい
- 自尊心
- 希望・ポジティブな思考
- 向上心
- 楽観的
- ポジティブ
- 積極的
- 夢見る
- 夢想
- 憧れる
- 切望
- 渇望
- 熱望
<基本レベル>ネガティブな心情語
- 悲しみ・孤独
- わびしい
- もの寂しい
- 心細い
- 虚しい
- 寂しさ
- 孤独感
- 孤立
いたたまれない
- 失望・無力感
- 無気力
- やりきれない
- 報われない
- 失望
- 無力感
- 絶望感
- 羞恥・屈辱
- 恥じらい
- 照れる
- 卑屈
- コンプレックス(劣等感)
- 屈辱的
- 自己否定・葛藤
- 自責
- 懺悔
- 葛藤
- 矛盾
- 苦悩
- 困惑・不安
- 困惑
- 当惑
- 混乱
- 戸惑う
- 躊躇
- ためらい
- 不安
- 焦燥
- 緊迫感
- 疑念
- 不信
- 怒り・反発
- 反感
- 憤り
- 憤怒
- 激怒
- 非難
- 叱責
- 嫌悪・拒絶
- 嫌気
- 不満
- 無念
- 悔恨
- 遺憾
- 不愉
- 鬱陶しい
- 面倒
- 厄介
- 苦々しい
- 高慢・優越感
- 尊大
- 自惚れ
- うぬぼれる
- 優越感
- 侮蔑・偏見
- 軽蔑
- 蔑める
- 見下す
- いぶかしむ
- 先入観
- 固定観念
<基本レベル>中立的もしくは複雑な心情語
- 感動・印象深さ
- 印象的
- 感慨
- 感激
- 感嘆
- 敬意
- 緊張・恐れ
- ひるむ
- 気が引ける
- 怖気づく
- びくびくする
- 気後れ
- 驚き・動揺
- 驚愕
- 仰天
- 動揺
- 狼狽
- 自己表現・態度
- 軽薄
- じれったい
- 見栄
- 虚勢を張る
- 沈静化
- 和らぐ
日々の学習では、小説物語のテーマを言語化して理解しておく
麻布中学校の小説物語文を深く理解するためには、日々の学習で、物語のテーマを言語化して理解しておくことが重要です。
単にストーリーを追うだけでなく、
- 「この物語は何を伝えようとしているのか」
- 「登場人物の行動や感情の背景には何があるのか」
といった問いを常に意識し、自分なりの言葉でまとめる練習をしましょう。「成長」「対立と和解」「自己犠牲」「社会問題」など、様々なテーマが存在します。物語を読み終えた後には、その物語の核となるテーマを明確に捉え、それを簡潔に表現する訓練を繰り返すことで、読解力と記述力が飛躍的に向上します。
覚えるべき物語パターン
- 暇になっていた自分の気持ちと向き合う
- 他者の視線に左右されない自分になる(親子編)
- 他者の視線に左右されない自分になる
- 転校生との出会いにより、自分をさらけ出せる
- 新たな自分を発見する(友達編)
- 自分にない考えを理解する 親子編
- 戦争中の集団心理から抜け出す トラウマを克服する
- 先入観を持った行動を後悔する/気づきを得る
- 自分の至らなさを後悔する/葛藤する
- 世の中の常識に相反する
「合格する国語の授業 物語文 得点アップよく出る感情語&パターン編」より引用



小説物語の定番テーマを体系的に学べるテキストはこちらです。
日ごろから記述演習を行い、文の構造や言葉の使い方、漢字や語彙などを高いレベルで使いこなせるようにしておく
麻布中学校の国語で合格点を取るためには、日頃から記述演習を徹底し、高いレベルで文の構造、言葉の使い方、漢字、語彙を使いこなせるようにしておく必要があります。記述問題では、論理的かつ明確な文章を作成する能力が求められるため、単に内容が合っているだけでなく、表現の正確さや豊かさも重要です。誤字脱字はもちろん、助詞や助動詞の誤用、文と文の接続の不自然さなども減点対象となる可能性があります。記述練習を通して、自分の考えを正確に、そして説得力のある形で表現する訓練を積み重ねることで、本番で自信を持って記述問題に取り組めるようになります。
類似の過去問を利用しトレーニングする
麻布中学校の国語対策として、麻布中学校の過去問はもちろんのこと、類似の出題傾向を持つ他校の過去問を利用してトレーニングすることが非常に有効です。
- 駒場東邦中学校
- 武蔵中学校
- 開成中学校
など、記述問題が多く出題される学校や、長文の小説物語文が頻出する学校の過去問を解くことで、麻布中学校の入試形式に慣れることができます。
麻布中国語対策のためのおすすめテキストまとめ
合格する国語の授業 物語文 得点アップよく出る感情語&パターン編
- 小説や物語のテーマを体系的に理解することを目的としたテキスト
- 心情語が200語ほど掲載されており、それらの言葉をマスターすることで記述問題への対応力が養われる
- コロナ禍、格差社会、親ガチャなど現代的なテーマも掲載されている



漢字や語彙、読解テクニックなど中学受験国語全般のおすすめテキストについては、「【完全版】中学受験国語〜合格までの勉強法と最強テキストまとめ」で紹介しています。
記述問題が苦手で、どのように対策すればよいですか?
記述問題を演習するにあたり、やみくもに問題を解くのではなく、問題を分析し、どのようなアプローチで解答を作成すればよいのかという仮説を作って解答するようにしましょう。
- 本文の表現を客観的に言い換えさせる(言い換えパーツ)
- 本文の対比構造を解答に反映させる(対比パーツ)
- 本文の因果関係を解答に反映させる(因果関係パーツ)
- 記述問題の結論に至る背景をかかせる(背景パーツ)
で記述の解答は構成されています。この4つのなにを使うことで、求められている解答が作られるかを想定し、その上で解答を作成しましょう。解答を作成する中でわからない語彙や漢字、助詞の使い方などを修正していきましょう。
まとめ
麻布中学校の国語は、長文の小説物語文と高い記述量が特徴であり、深い読解力と論理的な表現力が求められる難易度の高い科目です。本記事で解説した過去問の傾向、対策のポイント、そしておすすめのテキストを参考に、お子様に合った学習計画を立ててみてください。特に、心情語の習得や記述演習の徹底は、麻布中学校の国語攻略の鍵となります。
麻布中学校の国語はどのような特徴がありますか?
麻布中学校の国語は、長文の小説物語文が毎年出題され、登場人物の心情の変化や物語のテーマを深く読み解く力が求められます。また、総記述量が600字程度に及ぶ記述問題が中心である点も大きな特徴です。
麻布中学校の国語で合格点を取るためのポイントは何ですか?
漢字問題での満点、選択肢問題や文字数が少ない記述問題の確実な得点、そして言い換え・対比・因果関係を読み解く力が重要です。また、心情語の習得や記述演習を徹底し、論理的な文章を作成する訓練を積むことが合格の鍵となります。
麻布中学校の国語対策として、日ごろから読書は必要ですか?
読書自体は良いことですが、単に読書をするだけでなく、小説や物語のテーマを言語化して理解することが重要です。物語が伝えようとしていることや登場人物の心理などを客観的に整理する練習を日ごろから行いましょう。
小説物語を読み解くのが苦手な場合、どのように対策すれば良いですか?
小説物語の読解においては、「定番パターン」を知ることが有効です。「自己成長」や「本音と建前」など、物語で頻出するテーマを知識として学ぶことを心がけましょう。マンガやアニメなどのサブカルチャーも良い題材になります。
記述問題が苦手な場合、どのようなアプローチで対策すれば良いですか?
記述問題は、本文中の「言い換え」「対比」「因果関係」や「結論に至る背景」といったパーツで構成されています。問題を分析し、どのパーツを使って解答を作成するのか仮説を立ててから記述することで、効率的に練習できます。
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