この記事書いた人「神泉忍」について
- 慶應義塾大学総合政策学部卒
- 2013年から10年以上中学受験指導に携わる
- 2017年からは、オンライン指導とオフライン指導を並行して実施する私塾を開設
- 国語と作文指導が専門
- Xで受験関連の情報を毎日発信中
- 中高一貫校専門作文添削塾を運営中
- 事業会社にてWEBマーケティング領域業務にも従事
- 当サイトではアフィリエイトプログラムを使用しています
この記事でわかること
- 漢検活用の3つのメリットと学年別取得プラン
- 中学受験で頻出の漢字分野と対策ポイント
- 漢検5級までの学習手順とおすすめ問題集紹介
中学受験国語のために漢検を活用

みなさん、こんにちは。中学受験プロ講師の神泉忍です。この記事では、中学受験生のための漢検活用法を解説していきます。
- 中学受験国語で合格点をとるために漢検をどのように活用すれば良いか
- 漢検をどのようなスケジュールで受検すれば良いか
- 漢検を取得したあとどのような学習プランを立てていけば良いか
といった情報をお届けします。中学受験プロ講師として10年以上活動する私が、参考書の使い方も含めて具体的に解説していきます。ぜひ、最後までお読みください。
漢検の難易度
まず、漢検の難易度ですが、級数と難易度の設定は以下のようになっています。
- 5級
- 小学校6年生修了レベル(対象漢字数:1,026字)
- 6級
- 小学校5年生修了レベル(対象漢字数:835字)
- 7級
- 小学校4年生修了レベル(対象漢字数:642字)
- 8級
- 小学校3年生修了レベル (対象漢字数:440字)
- 9級
- 小学校2年生修了レベル (対象漢字数:240字)
- 10級
- 小学校1年生修了レベル(対象漢字数:80字)
中学受験国語内における漢字の難易度
次に、中学受験国語における漢字の難易度ですが、難関校であっても「小学校指導要領」内から出題されます。漢検の級数でいえば、「5級(小学校6年生修了レベル(対象漢字数:1,026字)」までの範囲が、中学受験国語における漢字の難易度となっていきます。

小学校指導要領以上の漢字学習は、オーバーワークとなるので、タッチ不要です。
中学受験国語の勉強に「漢検を活用する」のはあり?
中学受験国語の勉強の一環として「漢検」を活用するのは、非常に効果的と言えます。私も、中学受験指導の際に、「漢検の取得」を学習プランに組み込んで指導しています。
漢検が中学受験国語の勉強に効果的な理由


漢検が中学受験国語の勉強に効果的な理由まとめ
- 短期目標が立てられる
- 年に3回受検チャンスがある
- 低学年から始められる
ここからは、漢検が中学受験国語の勉強に効果的である理由を、3つの観点から解説していきます。
①短期目標が立てられる
漢検が中学受験国語の勉強に効果的である1つ目の理由は、「短期的な目標」を立てられるということです。中学受験は、一般的に2〜3年という長期間の学習となります。合格という最終ゴールに向かって、年単位の学習を進めていく必要があるわけですが、到達度を短期的に計る機会を設けることで、
- 「モチベーション維持」
- 「試験慣れ」
- 「成功体験を積む」
といった効用が得られます。最終的な目標から逆算して、やるべき勉強計画を立て、実践していくことが、検定試験を通して実践可能です。



資格試験を通して、「試験慣れ」することは非常に重要な体験です。
②年に3回受検チャンスがある
漢検が中学受験国語の勉強に効果的である2つ目の理由は、「年に3回の受検チャンスがある」ということです。
- 第1回:6月(第3または第4日曜日)
- 第2回:10月(第4または第5日曜日)
- 第3回:2月(第1または第2日曜日)
こちらのスケジュールで漢検が行われていますが、難易度と試験サイクルが程よい負荷となります。例えば、6月に7級(小4修了レベル)を受検し、同年の10月に6級(小5修了レベル)を受検するというサイクルを作ることができます。仮に、受検に合格しなかったとしても、4ヶ月後には再チャレンジが可能です。



学習範囲を決めて短期間で合格するという体験は、自信をもたらします。
③低学年から始められる
漢検が中学受験国語の勉強に効果的である3つ目の理由は、「低学年から始められる」ということです。中学受験は、通常小4から対策を始めるのが通例です。
ただ、小学校低学年時から段階的に中学受験に備えて学習を進めることで、小4以降の本格的な受験勉強を取り組みやすくしてくれます。
中学受験の勉強が始まると、「小学校の勉強はできている」という大前提でカリキュラムが進んでいくので、低学年時に基礎を固めておくことは、大きな強みになります。



もちろん、小4から対策を始めるという形でも十分に間に合います。この記事では、高学年からの漢検活用法も解説していますので、ご安心ください。
【ケース別】学習スケジュール


ここからは、各々のご家庭の状況に合わせた「中学受験に備える漢検の活用法」を解説していきます。
低学年からスタートする場合
低学年からスタートする場合、かなり余裕があるので、先取り学習を進めていきましょう。やり方としては、漢検5級を最終到達目標とし、取り組める分は、どんどん取り組んでいくというやり方です。漢字は、日常生活で使用するので、一度覚えてしまえば、復習のコストがあまりかかりません。また、学校でも都度復習が可能です。
小4からスタートする場合
小4からスタートする場合、小4生の間に漢検5級(小学校6年生修了レベル)をとれるようにしましょう。以下がサンプルの学習計画です。
- 小4の6月:漢検7級(小学校4年生修了レベル)取得
- 小4の10月:漢検6級(小学校5年生修了レベル)取得
- 小4の2月:漢検5級(小学校6年生修了レベル)取得
このプランで学習すれば、小4の間に小学校指導要領の漢字を習得できます。途中で不合格の回があったとしても、小5の前期までに漢検5級がとれるでしょう。
小5からスタートする場合
小5からスタートする場合、小5の間に漢検5級をとれるようにしましょう。以下がサンプルの学習計画です。
- 小5の6月:漢検6級(小学校5年生修了レベル)取得
- 小5の10月:漢検5級(小学校6年生修了レベル)取得
このプランで学習すれば、途中で不合格の回があったとしても、小5の間に小学校指導要領の漢字を習得できます。
小6からスタートする場合
小6からスタートする場合、小6の前期までに漢検5級をとれるようにしましょう。以下がサンプルの学習計画です。
- 小6の6月:漢検5級(小学校6年生修了レベル)取得
小学校6年生であれば、小六の夏休み前後までに、基礎的な学習をすべて修了していることが理想です。漢検はあくまで手段なので、学習の進捗度合いを鑑みて、漢検ではなく、入試対策本で、漢字を対策する方向にすることも戦略の一つです。
おすすめの漢検テキストまとめ
おすすめの漢検テキストまとめ
- アマゾンレビュー
- 問題集は問題と回答があり、わからないときは辞書をひいたりするのが普通ですが、これは辞書がなくてもこの1冊にすべて詰まっていて、次の級を受けるときもまたこの問題集を買おうと思います
- 子供が漢検会場でこちらの本を持っている子が多かったと言うので、次に備えて購入しました。
- 4年生が受験用に利用。家でするので本が大きいサイズなので見やすくやりやすいようです。内容については必要十分。要点がまとまっていて合格の一助に。
漢検の対策には、「日本漢字能力検定協会」が公式に発売しているテキストを使うのがおすすめです。各テキスト、論点別に学習範囲が掲載されています。
- 漢字の読み
- 漢字の書取
- 部首・部首名
- 筆順・画数
- 送り仮名
- 対義語・類義語
- 同音・同訓異字
- 誤字訂正
- 四字熟語
- 熟語の構成
こちらは、漢検テキストに記載されている主要な分野です。入試で出題される漢字の問題のタイプを幅広く網羅しており、入試対策としても有用です。
漢検をとった後はどうすればいい?
中学受験を念頭において、漢検を受検した場合、受検合格後にどのような学習プランを進めていけばよいのでしょうか。漢検を取得した後にすべき学習を紹介していきます。
中学受験国語で頻出分野をできるようにしていこう!
中学受験を目指す場合は、「漢字の中の頻出分野」を重点的に対策を行っていきましょう。また、読解上重要な漢字分野もあるので、知識学習のみならず全体の学習にとってプラスになる形で勉強することが大切です。



具体的な対策テキストを含めて紹介していきます!
中学受験国語の漢字分野で頻出の問題
中学受験国語において重要な分野は大きく2つです。
- 同音意義語&同訓異字
- 対義語&類義語
このジャンルの漢字は、試験で非常に狙われますし、対義語&類義語においては、精度の高い読解を行う上でも、重要な学習分野です。
①同音意義語&同訓異字
中学受験の漢字の問題で、頻出なのは「同音異義語・同訓異字」分野の問題です。
- 「同音異義語」:同じ音読みの漢字であるが、意味が異なる漢字
- ex.(正確<せいかく>)と(性格<せいかく>)など
- 「同訓異字」:同じ訓読みの漢字であるが、意味が異なる漢字
- ex.(熱い<あつい>)と(厚い<あつい>)など
漢字の書き取り問題が10問出題されたとして、1〜2問は、同音意義語&同訓異字分野から出題されるイメージです。同音意義語&同訓異字というジャンルで出題されるというよりも、漢字の書き取り問題の中にまじって出題されるのが一般的です。



同音意義語&同訓異字については、こちらの記事で詳しく解説しています。
②対義語&類義語
読解・知識問題双方で頻出な分野は、「対義語&類義語」です。
- 「対義語」の例
- 【本音⇔建前】本当の気持ち⇔みんなの前で言うきれいな考え
- 【生産⇔消費】ものを作ること⇔ものを使うこと
- 【形式⇔内容】決まった形ややり方⇔中に入っていることや物
- 【特殊⇔一般】普通とちがうこと⇔ふつうのことや人
- 「類義語」の例
- 【気性≒性分】人の性格や気持ちの特徴
- 【永遠≒永久】ずっと終わらないこと
- 【有名≒著名】みんなが知っていることや有名なこと
- 【消息≒音信】人の様子や状況を知らせること
こういった「対義語」「類義語」は、読解をしつつ対比構造を見抜く中で大切ですし、知識問題でも頻出です。



同音意義語&同訓異字や対義語&類義語をすべて対策できる問題集をこの後紹介します。
【厳選】中学受験国語漢字分野で入試対策に最適な問題集は?
中学受験国語漢字分野で入試対策に最適な問題集は、サピックスより出版されている「漢字の要」です。
「漢字の要」が入試対策に最適な理由
- 入試で出題される漢字の分野を総合的に網羅している
- 入試で狙われるポイントという観点で演習ができる
- 分冊化されており、演習量を調整できる
- アマゾンレビュー
- 模試でも漢字の点数がとれだしたので良かったです。
- 五年生から使い始めましたが、六年生で習う漢字も含まれているので、予習していて後が楽だったようです。
- 国語は本当に悩みましたが、要を繰り返すうちに漢字は8-9割(いい時10割)とれるようになったのが大きかったです。
「漢字の要」の構成は以下のようになっています。
- 頻出の書き読み
- 同音異義
- 同訓異字
- 四字熟語
- 三字熟語
- 類義語/対義語
- 筆順/画数
- 部首
- 送り仮名
- かなづかい
- 音読み/訓読み
- 熟語の構成


このような形で、入試で狙われるポイントが記載されていて、受験生が学習しやすいように設計されています。「漢字の要」は、シリーズで出版されており、全部で3冊ありますが、「パート1」のみで充分入試には対応可能です。
【中学受験国語】漢字問題で9割以上得点するためのおすすめのテキストまとめ
中学受験生が漢字で合格点をとるためのテキストまとめ
この記事では中学受験生のための漢検活用法を解説しました。漢検は短期目標が立てられる、年3回のチャンスがある、低学年から始められるという理由で中学受験国語の勉強に非常に効果的です。漢検取得後は「同音異義語・同訓異字」「対義語・類義語」など受験頻出分野の対策が重要です。漢検をうまく活用して、計画的に漢字力を身につけていきましょう!